便秘の医学・その治療と予防

便秘は、家族や友人にも言えない症状です。便秘は、特に女性や高齢者に多くみられる症状ですが、便秘のことよく知らない人が多いです。そこで、さまざまな状況で生じる便秘についてお話します。

便秘

便秘は、排泄行為に関連するものですから、他人あるいは家族さえその悩みを相談することができず、一人で悩んでいる方もきっと多いことでしょう。排便周期には個人差があり、便秘であるか否かの判断に困っている方、いままで便秘がなかったのに、急に便秘になった方、便秘が治らず何とか対処したいという方、便秘の原因についてもっと詳しく知りたい方、便秘の予防法や治し方について情報を得たい方、そんな便秘でお困りの方のために、便秘のあれこれを綴ってみました。ここでは、「便秘とは」(便秘の定義)、「便秘症とは」、「急性便秘と慢性便秘」、「器質性便秘と機能性便秘」、「便秘の予防」、「便秘の治し方」等についてお話します。便秘対策には、その予防と改善の双方に有効な方法が理想的な対策となり、また安全性が確立され、繰り返し服用しても効果の減弱がみられない野菜や根菜類に含まれる天然成分が最適です。便秘の改善も当然のことながら重要なのですが、便秘の予防も積極的に取り組む必要があります。

便秘とは 

「便秘」には個人差があり、そのため便秘に関する明確な定義はございませんが、一般的には「便が滞った、又は便が出にくい状態」と定義されます。「便が滞った状態」とは、なんらかの原因によって排便回数や便の量が減少した状態をいい、「便が出にくい状態」とは、排便するのに努力や苦痛を伴う状態」をいいます。いきんでも排便できない状態、あるいは子どもでは、排便時の肛門の痛みで泣いたりする状態のことをいいます。

 「便秘」に関する定義は、医学会によってまちまちですが、ここでは、国際的に用いられているRome基準による便秘の診断基準を示します。2016年に改訂されたRomeⅣ基準では、以下の要件を満たすとき「便秘」であると診断されます。

1. 次の2つ以上の項目を満たす場合

a. 排便時の25パーセント以上に、いきみがある(排便時の4回に1回以上の頻度で、いきまないと排便できない状態であること)。

b. 排便時の25パーセント以上(排便時の4回に1回以上)に、兎糞状の便又は硬い便(硬便)がある。

c. 排便時の25パーセント以上に、残便感がある。

d. 排便時の25パーセント以上に、直腸肛門の閉塞感又はつまった感じがある。

e. 排便時の25パーセント以上に、用手的に排便を対応している(排便のために摘便や骨盤底の圧迫等を行っている)。

f. 自発的な排便が、週に3回未満である。

2. 下剤を使わずに軟便になることが稀であること。

3. 過敏性腸症候群IBS)の診断基準を満たさないこと。

☆少なくとも6か月以上前から、これらの症状又は状態にあり、最近の3か月間は、上記の基準を満たしていること。

 便秘の医学的診断にはさまざまな要件が付されていますが、自らが便秘である可能性を見極めるには、「排便の回数」の評価が最も簡便で有効的です。排便の回数は、個人差が大きいのですが、一般に「排便の回数が週3回未満」である場合、便秘の目安となるでしょう。排便は腸の働きによって起こります。腸の働きが正常であれば、1日3回、少ない人であれば週に3回程度、腸の蠕動運動によって排便が生じます。したがって、排便が週に3回未満であれば、正常な排便周期から逸脱することとなり、「便秘」の状態であると考えることができます。

 便秘の判断を自ら行う場合、排便の回数のみならず、排便される便の形状や便の硬さも参考となります。例えば、コロコロした硬い便は兎糞便といい、便秘の典型的な症状となります。以上のように、便秘あるか否かの判断は、排便の回数と便の形状の2つが主要な要件となるでしょう。

便秘症とは

「便秘症」とは、便秘又はそれによる身体症状が現れ、診療や治療を必要とする場合のことをいいます。「・・・症」とは、診療や治療の対象となる「やまい(病気)」のことをいいます。「便秘による症状」とは、便秘によって生じた腹痛、腹部膨満感、腹部不快感、排便できないことに対する精神的不安、排便の際の痛みや出血、あるいはニキビ、湿疹、肌荒れ等の皮膚症状など、便秘を原因としたさまざまな症状のことをいいます。

 便秘による腹痛や腹部膨満感は、「お腹にガスが溜まっているみたい」、「お腹が張って苦しい」、「お腹の下の方が痛む」などの症状が現れます。便秘による腹痛は、一般に、おへその下側で生じ、おへその真下、右側、左側、肛門に近い下腹部などで生じます。便秘の腹痛で多いのは、左側下腹部と肛門に近い下腹部です。腹部不快感は、排便時の不快感です。「便意があるのになかなか出ない」、「強くいきまないと便が出ない」、「排便したのにスッキリせず、まだ残っている感じがする」など、排便時に不快な状態も便秘によくみられます。便秘になりますと、残便感があり、通勤や通学時あるいは勤務中や学校での授業中に、排便でトイレに駆け込むのではないかと不安に駆られます。そうなりますと、仕事や勉強に集中することができなくなり、精神的に不安定となります。これを便秘による精神的不安感あるいは不安症といいます。便秘は、体の器質的障害のみならず精神的な障害も伴うのです。便秘で排便困難になりますと、無理にいきむこととなり、その結果、排便時の痛みや硬い便によって直腸や肛門の粘膜を傷つけることにより出血が生じます。便秘は、腹部の症状のみならず、発疹などの皮膚症状が現れます。ニキビ、吹出物、発赤などが便秘によって生じ、肌荒れの原因となります。肌荒れ対策には、クリームやローションなどの使用がよく知られていますが、便秘を原因とする肌荒れは、そのような肌荒れ対策では効果がなく、便秘という源の原因対策が必要となります。ニキビや吹出物で、クリーム・ローションによる対策を考えている方は、実は便秘という内臓疾患から皮膚障害が生じていることを理解していただきたいです。便秘は、下腹部の症状のみならず胃の障害や頭痛の原因ともなります。便秘が生じる原因にストレスがありますが、それは頭痛や胃痛などの機能性ディスペプシアや胸焼けの原因となる逆流性食道炎の原因ともなります。

急性便秘と慢性便秘

便秘は、その病状の期間から、「一過性便秘(急性便秘)」と「慢性便秘」とに分類されます。一過性便秘と急性便秘とは同義語です。急性便秘は、いったん便が排出されますと、便秘による諸症状が消失し、また便が排出されるまでの期間も短期間となります。他方、慢性便秘では、長期間にわたり便秘及びそれに伴う諸症状が長期間にわたり継続する状態をいいます。急性便秘では、特に、対策を講じる必要はございません。しかし、女性の生理周期による便秘の場合のように、生理の周期に準じて便秘が生じる場合、これは急性便秘の繰り返し状態となりますので、便秘対策が必要となります。急性便秘は、1回限りのものであれば、その治療や対策は特に必要とはなりませんが、生理周期による便秘のように、急性便秘であっても、それを繰り返す場合には便秘対策を講じることとなります。慢性便秘の場合は、急性便秘以上に、真にその対策が求められます。

器質性便秘と機能性便秘

 器質性便秘は、症候性便秘と同義語で、解剖学的異常を含む器質性疾患による便秘です。基礎疾患や全身性疾患に伴う便秘も含まれます。機能性便秘は、器質性便秘を除いた便秘のことをいいます。特発性便秘ともよばれます。単純性便秘や習慣性便秘と同義語となります。機能性便秘の多くが生活習慣や食習慣の改善で対処することができるのに対し、器質性便秘は積極的な治療や対策が必要となります。

 器質性便秘は、他の疾患を原因として生じる便秘となりますが、便秘とともに他の症状も合併して現れることがあります。例えば、吐き気、嘔吐、激しい腹痛、血便、便への粘液混入、急な発熱などです。

 器質性便秘は、大腸の管が狭くなった狭窄性便秘と、狭窄ではないですが大腸の形態的変化によって生じる非狭窄性便秘とに分類されます。狭窄性便秘は、大腸の管が狭窄することによって、糞便の通過が物理的に障害されることによって生じる便秘です。大腸ポリープ、大腸がん、腸閉塞、腸捻転潰瘍性大腸炎クローン病あるいは腹膜炎、子宮筋腫、卵巣腫瘍などによる大腸壁外性圧迫による便秘が代表的な狭窄性便秘となります。疾病ではございませんが、妊娠による便秘も胎児による大腸壁外性圧迫による一種の狭窄性便秘であるといえます。内臓や生殖器の外科手術あるいは帝王切開による出産後に生じる臓器の癒着も狭窄性便秘の原因となります。他方、非狭窄性便秘には、大腸が慢性的に顕著な拡張を呈する場合と直腸の形態的変化を伴う場合とがあります。巨大結腸症のように、大腸の管が拡張しますと、糞便の大腸内通過が遅延して排便回数や排便量が減少し便秘が生じます。また、直腸瘤、直腸重積、巨大結腸症などのように直腸が形態的に変化した場合、あるいは小腸瘤やS状結腸瘤などの消化管形態変化の場合、直腸にある糞便を十分量かつ快適に排出することができなくなり、このような便排出障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘が引き起こされます。

 機能性便秘は、大腸の働きの異常が原因で生じる便秘であり、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘、食事性便秘の4つに分類されます。特に基礎疾患がまったくなく、それでいて便秘になる人の多くが機能性便秘であるといえるでしょう。一般に、女性で多くみられる便秘のほとんどが機能性便秘です。

 健康な大腸は、一定の緊張とリズムをもって運動しています。ところが、大腸の緊張と運動が低下しますと、大腸内の内容物の通過が遅れ、内容物に含まれる水分の吸収が増加してしまい、その結果、硬い便となって便秘が生じます。これを弛緩性便秘といいます。排便時に腹圧をかける(いきみ)に必要な腹筋などの筋力が弱まることも便秘の原因となります。妊婦さんの便秘がその例です。痙攣性便秘は、自律神経の乱れによって生じます。ストレスや感情の高まり等によって自律神経が乱れ、特に副交感神経が緊張しすぎることによって痙攣性便秘が生じます。自律神経が乱れますと、大腸の下行結腸部位に痙攣が生じ、その管の部位が狭くなり、それが便の移送を妨げることによって便秘が生じます。パーキンソン病などの精神神経系疾患においても痙攣性便秘が生じやすくなります。痙攣した部位の上部は、腸内の圧力が高まるために、お腹が張った感じ(腹部膨満感)がして、不快感や痛みを感じます。また、排便があっても、便の量が少なく、硬い塊(兎糞便)となります。痙攣性便秘では、残便感を訴える人が多いです。直腸性便秘は、排便を我慢することによって生じる便秘です。便が直腸の中に入りますと、直腸の壁が伸び、その刺激で便意が起こります。ところが、その便意を我慢して排便を怠りますと、やがて便意がなくなります。このような状態を繰り返しますと、便に対する直腸の感受性が低下してしまい、直腸内に便が入っても便意を感じなくなり、便秘が生じます。直腸性便秘は、仕事や勉学に拘束されやすい人、例えば学校に通う児童や若い女性に多いタイプの便秘です。食事性便秘は、食物繊維や食事の量の減少によって生じる便秘です。食物繊維の少ない食習慣では、腸壁に適度の刺激がなくなり便秘が生じます。食生活の欧米化やダイエット志向により食事性便秘が急増しています。また、人工透析や糖尿病などの疾患では、厳格な食事制限が課せられますが、このような疾病による食事制限は食事性便秘の原因となります。その他、医薬品の副作用として便秘が生じることがあります。これを薬剤性便秘といいます。高血圧や心不全の治療に用いられるカルシウム拮抗薬や利尿剤等を服用しますと薬剤性便秘が生じることがあります。向精神病薬の服用も便秘を引き起こすことがあります。このように便秘はさまざまな原因で生じますが、食事の欧米化やストレス社会である現代においては、ますます便秘が増加するものと考えられます。 

便秘の予防

便秘は誰にでも起こる症状です。便秘になってから対処するものではなく、普段からその予防に心掛けることがとても大切となります。特に、慢性便秘になりますと、治療が困難となることが多いので、便秘の徴候が現れましたなら、速やかに便秘対策を講じ、それを継続することが重要です。

 便秘の予防は、食物繊維や水分を十分に摂るなど、食生活の改善が基本となります。加えて、適度な運動や排便の習慣付け、ストレスの発散も心掛けとよいでしょう。便秘の予防は、まずは食生活を見直すことです。そのポイントは、以下の4つです。第一に、食事のリズムを整えることです。朝昼晩3食をしっかり摂り、特に朝食を抜かないことが大切です。第二に、食物繊維や水分を十分に摂ることです。特に、イヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維は、便秘の予防のみならず、便秘の改善対策としてもとても有効です。食物繊維は、腸の蠕動運動を高め、糞便を排出しやすくします。野菜類、穀物類、いも類、豆類、海藻類、寒天、果物など、食物繊維を多く含む食品を十分に摂るようにしましょう。水分が不足しますと、便が硬くなってしまいます。水分を含んだ便は、便の容積が増して腸に刺激を与え、便意を起こしてくれますので、水分を十分に摂ることが大切です。朝一杯の水や牛乳を飲むことを習慣づけるとよいでしょう。第三に、極端なダイエットは避け、バランスのとれた食生活が便秘の予防につながります。極端に食事の量を減らしますと、食物繊維や水分の摂取も不足してしまいます。また、太る原因とされる食事の脂肪分を減らしますと、便の滑りが悪くなってしまい、便秘の原因となります。ダイエットにより排便のリズムが崩れますと、便秘のみならず健康や美容にも悪影響を及ぼします。栄養的にバランスのとれた食生活に心掛けましょう。第四に、腸内環境を整える食品を積極的に摂ることです。乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや納豆などの発酵食品は腸内環境を整え、便秘の予防になります。野菜類や根菜類に含まれるイヌリン水溶性食物繊維は、食物繊維としての作用と腸内環境を整える作用の双方を兼ね備えていますので、便秘の予防と改善の両者にとても有用な食品成分です。日常の食生活に、このような腸内環境を整える食品を十分に採りいれることが、便秘の予防につながります。

便秘の治し方

便秘の改善に便秘薬を選択する人もきっと多いことでしょう。しかし、便秘薬には、そのメリットとデメリットがあり、便秘の改善に必ずしも適しているとはいえません。便秘薬の使用は、急性便秘に対してのみ適しているのであって、慢性便秘や女性の生理前の便秘のように、急性便秘を繰り返す便秘にも、便秘薬は適しておりません。便秘の予防の観点からも、便秘薬は適しておりません。さらに、基礎疾患による便秘や妊婦さんあるいは授乳婦さんの便秘における便秘薬の使用は,その副作用を理由として、使用禁忌(使用不可)とされています。便秘対策は、安全でしかも長期にわたり使用可能なものを選択する必要があります。また、基礎疾患を伴う便秘では、基礎疾患の治療薬と飲み合わせても問題のない便秘対策が求められます。

 便秘薬は、医師の処方なしでドラックストアや薬局で入手可能ですが、それらの便秘薬も医薬品ですので副作用が伴います。市販の便秘薬には、アントラキノン系便秘薬、ジフェニルメタン系便秘薬、塩類下剤、膨張性下剤などがあります。アントラキノン系便秘薬とジフェニルメタン系便秘薬は、いずれも腸の粘膜刺激作用があり、腸の蠕動運動を促進させる働きがあります。代表的なアントラキノン系便秘薬には、コーラック、ビューラック、スルーラックなどがあり、またジフェニルメタン系便秘薬には、コーラックソフト、ビオフェルミンなどがあります。多くの方が、ドラッグストアで購入する便秘薬は、それらアントラキノン系便秘薬とジフェニルメタン系便秘薬です。これらの便秘薬は、大腸の粘膜に作用し、その刺激によって便通の改善を図るものですが、その反復使用によって便秘改善効果が消えてしまうというデメリットがあります。これらの便秘薬を繰り返し服用しますと効果が現れなくなるということになります。したがって、慢性便秘や急性便秘を繰り返す場合には、それらの便秘薬の使用は不適当であるといえます。また、それらの便秘薬を使用しますと、大腸粘膜を刺激する有効成分が体内に吸収されてしまい、そのためそれらの便秘薬は、妊婦さんや授乳婦さんには使用禁忌となっています。授乳婦さんがそれらの便秘薬を服用しますと、有効成分が体内に吸収され、それが乳汁に分泌されます。そのため、乳汁を摂取する赤ちゃんは、お母さんが服用した便秘有効成分を間接的に飲むこととなり、その結果、赤ちゃんに激しい下痢が生じます。赤ちゃんの激しい下痢は、体内水分量の低下と栄養的欠損により、その健康と成長に重大な影響を及ぼすこととなります。アントラキノン系便秘薬とジフェニルメタン系便秘薬は、その繰り返し使用により、大腸粘膜刺激作用が徐々に減弱し、最終的には便秘改善効果が発現しなくなります。従いまして、これらの大腸刺激による便秘薬は、慢性便秘や急性便秘を繰り返す便秘には不適当となります。さらに、それらの便秘薬の服用は、大腸粘膜が黒色に変化する大腸メラノーシスが生じたり、大腸の刺激により激しい腹痛が生じます。

 酸化マグネシウムは、大腸内で膨潤化し、便の量を多くすることで便秘を改善する膨張性下剤です。医療機関でもたびたび処方されます。しかし、酸化マグネシウムを服用しますと、マグネシウム成分が体内に吸収され、高マグネシウム血症を引き起こします。血液中のマグネシウム濃度が上昇しますと、心臓の機能に悪影響を及ぼし、心不全という重篤な副作用が発現します。現に、酸化マグネシウムの副作用による死亡例が報告され、厚生労働省は、酸化マグネシウムの処方に関して、厳重な警告を発表しています。このように、便秘対策に便秘薬の使用は、あまり有用なものとはいえず、むしろ便秘薬の体内吸収によるリスクが大きいと考えられています。

 それでは、体にやさしい便秘対策あるいは便秘予防にはどのようなものがあるのでしょうか。現在、便秘の予防と改善の両者に有効であるとされているのが水溶性食物繊維です。とりわけ、イヌリン水溶性食物繊維は、腸内に生息する乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を特異的に増やす作用に優れており、各種の食品成分の中で、最も腸内環境の改善効果が高いといわれています。オリゴ糖にも善玉菌を増やす作用がありますが、大腸菌などの悪玉菌もまた増えてしまうため、相対的に腸内環境の改善効果は高いとはいえません。他方、イヌリン水溶性食物繊維は、ビフィズス菌などの善玉菌の特異的な栄養源となってそれらの善玉菌を増やしますが、悪玉菌に対しては栄養源とはならないために、それらの悪玉菌を増やす作用はございません。イヌリン水溶性食物繊維は、善玉菌のみを特異的に増やすという特徴があり、理想的な腸内環境改善成分であるといえます。

 便秘にはさまざまなタイプがありますが、共通するのは「硬い便」となって排便が困難となることです。ですので、便秘の予防や改善には、硬くなった便を軟らかくすることが最も重要であると考えられます。硬い便の形成を予防し、あるいは硬くなってしまった便を軟らかくするには、大腸内の腸内環境を改善することが最も重要となります。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は、硬くなった便を軟らかくし、また硬い便の形成を抑制する効果に優れています。とはいえ、善玉菌の経口摂取は、大腸に到達するまでの間に死滅してしまいますので、大腸内の腸内環境を改善することができません。他方、イヌリン水溶性食物繊維は、胃酸や胃腸内の消化酵素では分解されずに、大腸に到達することができます。人の大腸には、善玉菌が生息していますので、その生息している善玉菌を増やした方が、安定した最良の腸内環境を維持することができます。このように、イヌリン水溶性食物繊維は、便秘の予防と改善の双方に有効な食品成分であるといえます。便秘対策として、小児、妊婦、授乳婦、高齢者あるいは基礎疾患のある患者さんにも適用することができるところに、イヌリン水溶性食物繊維の特徴があるといえます。イヌリン水溶性食物繊維は、ゴボウ、アスパラ、タマネギ、ニンニクなどの野菜類や根菜類に含まれていますが、その含有量は非常に少ないです。しかし、今ではスティムフローラのように、極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維健康補助食品として市販されていますので、このような健康補助食品を便秘の予防やその改善に活用するのも有用です。

 便秘は、生活の質(QOL)を著しく低下させます。また、便秘を放置しますと腸閉塞を生じさせ、生命に危険が及びます。さらに、便秘は、潰瘍性大腸炎クローン病、大腸ポリープ、大腸がん、アトピー性皮膚炎、ニキビ・吹出物などの皮膚疾患、免疫性疾患、膀胱炎・尿路感染症等の疾病の原因となり、またそれらの疾病の悪化要因ともなります。積極的に、便秘を予防し、あるいは改善することが、健康につながります。

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水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気で食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/