便秘の医学・その治療と予防

便秘は、家族や友人にも言えない症状です。便秘は、特に女性や高齢者に多くみられる症状ですが、便秘のことよく知らない人が多いです。そこで、さまざまな状況で生じる便秘についてお話します。

膀胱炎と便秘:繰り返す膀胱炎の原因は便秘!

膀胱炎は、「女性の病気」といってもよいほど女性に多い病気です。膀胱炎の原因は、便の中に含まれる大腸菌です。便中の大腸菌が膀胱炎の原因菌となって、膀胱炎が発症します。膀胱炎が発症しますと、頻尿、排尿痛、血尿、尿の濁りや尿の悪臭が生じます。また、膀胱炎は、膀胱のみならず、尿道炎や腎盂腎炎の原因ともなります。膀胱炎の治療には抗生物質(抗生剤)が用いられ、1週間程度で完治するのですが、完治後も、膀胱炎を何回も繰り返す女性も非常に多いです。便秘は女性に多くみられる症状です。便秘になりますと、膀胱炎の原因菌である大腸菌が増えてしまい、それが原因となって膀胱炎が引き起こされます。便秘は、膀胱炎を繰り返す原因となるのです。膀胱炎あるいは繰り返す膀胱炎の予防対策は、まずは便秘の解消と予防及び膀胱炎の原因菌となる大腸菌などの悪玉菌が減った腸内環境の改善となります。水溶性食物繊維であるイヌリン水溶性食物繊維などのプレバイオティクスは、便秘を解消すると同時に、ビフィズス菌酪酸菌や乳酸菌などの善玉菌を特異的に増やすことによって腸内環境を整え、膀胱炎の原因となる大腸菌等の悪玉菌を減らします。膀胱炎の原因菌となる大腸菌などの悪玉菌を減らすことが、繰り返す膀胱炎の対策となります。ここでは、繰り返す膀胱炎と便秘との関係についてお話します。

 

 

膀胱炎の症状

  膀胱炎には、急性膀胱炎と慢性膀胱炎の2つがあります。女性に多い単に膀胱炎という場合は、一般に急性膀胱炎のことを指します。20~40歳の女性の25~35%が、急性膀胱炎に罹るといわれています。

 急性膀胱炎は、文字通り、急に膀胱炎を発症する疾患のことをいいます。膀胱炎を発症する直前まで、普段の健康な状態なのですが、突然に膀胱炎の症状が現れます。トイレ後に残尿感があったり、排尿後下腹部にヒリヒリする痛みを感じたなら、それは急性膀胱炎によるものかもしれません。急性膀胱炎で生じる症状の持続期間は平均で6日程度であるとされています。

 急性膀胱炎の主な症状は、排尿痛、頻尿及び尿混濁の3つです。排尿痛とは、おしっこをするときに痛みを感じることです。急性膀胱炎では、特に排尿の終わりごろに強い痛みを感じます。排尿によって、炎症を起こした膀胱が縮まりますが、その膀胱の収縮という刺激によって痛みを感じるようになります。下腹部や尿道口に痛みを感じることが多く、膀胱炎が悪化した場合には、焼けつくような強い痛みを感じます。頻尿とは、尿意を感じる回数が多くなることをいいます。1日あたり10回以上、トイレに行きたくなる状態を頻尿といいます。膀胱炎では、排尿後に残尿感があり、トイレに行った数分後にまた尿意を感じる人も少なくありません。これは、膀胱の炎症によって、尿意刺激が頻繁に起こるためです。膀胱に炎症が生じますと、炎症の部位に血液に含まれる白血球が防御のために集積します。この白血球が尿に混ざりますと、尿の色が白っぽく濁ります。これを尿混濁といいます。しばしば血液中の赤血球が尿に含まれ、尿の色が赤くなることがあります。これを血尿といいます。膀胱炎では、尿混濁や血尿が生じることがあります。また、膀胱炎では、尿のニオイが強くなり、悪臭となることもあります。

 膀胱炎が再発を繰り返すようになり、半年の期間で数回、膀胱炎が生じるようですと慢性膀胱炎と診断されます。自覚症状が急性膀胱炎よりも軽度あるいは自覚症状がないにもかかわらず、尿の細菌検査を行いますと、正常時とは異なり、多くの細菌が検出されることがあります。単に、尿中に細菌が検出されるだけでは、膀胱炎が生じているとはいえません。細菌によって膀胱が炎症を起こしているか否かは、尿中に血球が混入しているか否かで診断されます。通常、尿中に赤血球の混入がみられれば急性膀胱炎と診断され、白血球の混入があれば慢性膀胱炎と診断されるでしょう。慢性膀胱炎は、持続的な細菌による感染が原因となりますが、膀胱炎の症状は、時に発現しあるいはまったく症状がない場合もあります、慢性膀胱炎の特徴は、半年間という比較的短い期間で膀胱炎が何度も繰り返すことにあります。

 慢性膀胱炎とは異なり、年単位で膀胱炎を繰り返すことがあります。ほぼ毎年膀胱炎を発症するとか、2~3年に1度、膀胱炎を発症するケースです。5年に1度、あるいは10年に1度、このような比較的長い期間で膀胱炎を繰り返す女性も非常に多いです。このタイプの膀胱炎は、慢性膀胱炎ではなく、急性膀胱炎の繰り返しであると考えられます。症状は、急性膀胱炎の症状と全く同じとなります。このように、膀胱炎を繰り返す場合、慢性膀胱炎と急性膀胱炎の繰り返しの2つのケースがあります。

膀胱炎の原因

  膀胱炎の原因は、女性の体の構造、細菌感染源となる腸内環境、冷え・疲れ・ストレスなどによる免疫防御力の低下、が考えられます。また、生理・月経や性交渉(セックス)も、膀胱炎の原因となります。膀胱炎が生じる原因は、糞便中に含まれる腸内細菌によるものです。女性で膀胱炎が多い理由は、女性の体の構造にあります。男性に比べて女性では、糞便の排泄口である肛門と尿の排泄口である尿道口が、数センチメートルと接近しています。そのため、膀胱炎を引き起こす糞便中の細菌が容易に尿道口に入り、尿道内にある尿を逆流して膀胱内に到達します。膀胱内に到達した細菌は、そこで定住し繁殖するのです。このような経緯をたどり、結果として糞便中の細菌が女性の膀胱内で繁殖し、その菌が増殖することとなります。膀胱内で糞便中の細菌が増えますと、その細菌が膀胱粘膜に侵入することとなり、細菌の膀胱粘膜感染が生じることになります。細菌が、膀胱粘膜に侵入しますと、体の防御反応として侵入した細菌を退治するために白血球が感染部位に集まるのです。膀胱炎で尿混濁あるいは尿の異臭が生じるのはこのためです。女性の尿道の長さは、4~5cmです。つまり、女性の場合、尿道口から膀胱までの距離が非常に短いために、容易に糞便中の細菌が膀胱内に侵入することができるのです。他方、男性の場合、肛門と尿道口(ペニスの先端)との間が離れていますので、糞便中の細菌は、容易に尿道口に到達することができず、それにより男性では膀胱炎の発症が少なくなります。

 ウォシュレットはおしりを洗浄するので清潔だと思われている女性も多いと思います。しかし、ウォシュレットによる肛門の洗浄は、その水洗によって、糞便中の細菌が広がる危険性があります。ウォシュレットはむしろ膀胱炎の発症リスクが高まりますので、注意が必要です。排便後、トイレットペーパーは、必ず前から後ろの方向で拭き取るようにしてください。肛門から前の方向に拭き取りますと、糞便中の細菌が尿道口に入りやすくなり、膀胱炎の危険性が高まります。

 膀胱炎のほとんどが、便に含まれる大腸菌によって発症します。急性膀胱炎の70~95%が大腸菌を原因菌としたものです。大腸菌以外では、ブドウ球菌、プロテウス、肺炎桿菌、腸球菌などによる膀胱炎の発症もみられます。しかし、それらの菌による急性膀胱炎の発症頻度は相対的に低いので、急性膀胱炎の原因菌は大腸菌であるといっても過言ではないでしょう。他方、慢性膀胱炎についても主要な原因菌は大腸菌ですが、緑膿菌、腸球菌あるいはブドウ球菌を原因菌とした発症頻度が高くなる傾向がみられます。これらの原因菌も、糞便中に含まれる細菌となります。膀胱炎の原因菌となる大腸菌は、大腸内に生息する腸内細菌の一種ですが、体に害を与えることから、一般に悪玉菌の一種であるとされています。

膀胱炎を繰り返す原因

  女性にとって膀胱炎は、繰り返すことの多い病気、感染症です。膀胱炎を何回も繰り返した経験のある女性もきっと多いことでしょう。膀胱炎を繰り返す原因は、肛門と尿道口が接近しているという女性特有の体の構造によるものです。そのため、便に含まれる大腸菌等の原因菌が容易に尿道口に侵入することができ膀胱炎が発症してしまうのです。膀胱炎が抗生剤の治療で完治しても、体の構造から、また原因菌が膀胱内に侵入しますので、膀胱炎は繰り返すこととなります。

 その他、膀胱炎を繰り返す原因として意外に多いのが、抗生剤の治療を途中で打ち切ってしまうことで膀胱炎が再発することです。膀胱炎の原因菌は、抗生剤によって完全に殺菌されます。しかし、膀胱内の原因菌を完全に殺菌するためには、約1週間かかります。病院ではそれを考慮して、抗生剤の処方を約1週間分行います。ところが、抗生剤を飲み始めて2、3日で症状が改善され、抗生剤の服用を自らの判断で中止することがあります。このような場合、患者さんは膀胱炎が治ったと思い抗生剤の服用を中止するのですが、実は膀胱炎の症状が消えても、膀胱の中にはまだ原因菌が生き残っていることがあるのです。膀胱内で生き残った原因菌は、また増殖し増えますので、治ったと思っていた膀胱炎が再度繰り返すことになるのです。抗生剤による原因菌の殺菌は、膀胱炎の症状の有無にかかわらず、完全に行う必要があります。耐性菌の出現を予防する観点からも、処方された抗生剤のお薬を飲みきることが大切です。

 急性膀胱炎の初期で、膀胱内の細菌感染がさほど大きくない場合、膀胱炎が自然治癒することがあります。膀胱炎の自覚症状が軽度である場合、病院に行かない女性も多いのではないでしょうか。また、病院の診察においても、症状がとりわけ軽度の場合、抗生剤の処方を見合わせ自然治癒の経過を観察することもあります。このような場合、後で述べる膀胱炎予防対策での対処法が有効となります。

膀胱炎と便秘との関係

  膀胱炎を発症するあるいは膀胱炎を繰り返す女性の多くは便秘体質の方です。便秘体質の女性は、膀胱炎にも罹りやすくなります。前にも述べましたように、膀胱炎の原因菌のほとんどが大腸菌によるものです。便秘になりますと、便中の大腸菌が爆発的に増えます。便秘で大腸菌が増えた分、大腸菌尿道口に侵入する確率も高まり、その結果、膀胱炎を発症する確率も高まるのです。女性の膀胱炎の原因は、便秘であるとの報告もあるくらい、膀胱炎と便秘との関係は、密接に関連しているのです。便秘になりますと、腸内細菌の悪玉菌が増え、それにより膀胱炎の発症リスクが高まるということになります。便秘を改善・予防し、さらに大腸内の大腸菌をはじめとした悪玉菌を減らすことが、膀胱炎あるいは繰り返す膀胱炎の予防対策となるのです。

膀胱炎及び繰り返す膀胱炎の予防対策

  膀胱炎あるいは繰り返す膀胱炎の予防対策は、第一に、便秘の改善と予防、第二に、腸内細菌に含まれる大腸菌等の悪玉菌を減らすこと、等の2つの対策が同時に必要となります。下剤や便秘薬は、便秘の改善に効果を発揮しますが、便秘の予防にはつながりません。また、便秘薬や下剤には、腸内細菌の悪玉菌のみを減らす作用もございません。つまり、便秘薬や下剤には、膀胱炎対策で必要とされる2つの要件を満たすことができないということになります。

 それでは、膀胱炎対策で必要とされる2つの要件を満たす対策にはどのようなものがあるのでしょうか。この2つの要件を同時に満たすことができるのが、イヌリン水溶性食物繊維をはじめとしたプレバイオティク効果のある成分です。イヌリン水溶性食物繊維は、大腸に生息するビフィズス菌酪酸菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となって、それらの善玉菌を増やす働きがあります。大腸に生息する腸内細菌は、ビフィズス菌などの善玉菌と大腸菌などの悪玉菌が混じった状態で存在しています。大腸内の腸内細菌数は、善玉菌及び悪玉菌を含め一定の数で維持されています。イヌリン水溶性食物繊維等のプレバイオティクスを服用しますと、ビフィズス菌などの善玉菌は大腸内で増えますが、腸内細菌の総数は、一定に保たれるために、善玉菌が増えた分、悪玉菌は減ることとなります。

 イヌリン水溶性食物繊維は、ビフィズス菌などの善玉菌を増やすことによって、硬くなった便を軟らかくし自然な排便を促進し便秘を解消させます。また、それと同時に、大腸内の腸内環境を改善させ、大腸菌などの悪玉菌を減らします。このように、イヌリン水溶性食物繊維は、便秘の改善・予防と腸内環境を改善させるという2つの機能があるのです。このように、膀胱炎あるいは繰り返す膀胱炎の予防対策には、イヌリン水溶性食物繊維が最適であるといえます。刺激性下剤である便秘薬は、便秘には有効であるのですが、腸内環境を改善させる効果はございません。従いまして、膀胱炎対策に便秘薬は不十分であるといえます。今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない高純度のイヌリン水溶性食物繊維が、健康補助食品として市販されています。膀胱炎、繰り返す膀胱炎の改善と予防に、このような健康補助食品を活用することも、とても有効となります。

 膀胱炎あるいは繰り返す膀胱炎の対策には、便秘の改善・予防と腸内環境の改善の2つを同時に対処する必要があります。膀胱炎を放置しますと、腎盂腎炎という生命に危険が及ぶ重篤な病気に進展することがあります。単に、膀胱炎と侮ることなく、日頃から膀胱炎対策を意識して継続的に対処することがとても大切となります。イヌリン水溶性食物繊維は、野菜や根菜類に含まれる食品成分ですので、長期にわたり安全で継続して膀胱炎対策ができる唯一の食品有効成分となります。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/

 

産後の便秘と痔

産後の女性に多いのが便秘と痔です。産後の便秘は痔の原因となり、また便秘は、痔を悪化させます。妊娠中だけではなく産後も便秘が生じます。産後の便秘は、母乳の分泌による体内水分量の低下、会陰切開や帝王切開による排便時の痛み、肛門括約筋、骨盤底筋や腹筋の緩み、直腸瘤、子宮脱、産後の肥立ち、睡眠不足、運動不足、育児ストレスなどが原因で生じます。産後クライシスが影響し、便秘になることもあります。産後の授乳中の便秘薬や下剤の使用は禁忌です。産後の切れ痔やイボ痔は、出産時及び出産後の「いきみ」と便秘が原因で生じます。産後の便秘や痔は、妊娠中から既に始まっていて、産後にそれらの症状が強く現れます。産後の便秘を予防し、あるいは改善することによって、痔の形成を防ぎ、痔の悪化を緩和することができます。産後の便秘を拗らせますと、慢性便秘の原因となりますので、産後の便秘をしっかりと治すことがとても大切となります。産後の便秘及び痔の治療に、便秘薬は有効ではございません。特に、授乳中に便秘薬や下剤を使用しますと、吸収された便秘薬の主成分が乳汁に入り、これを飲む乳児に、激しい下痢が生じます。産後あるいは授乳中の便秘対策には、天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維が最も安全で、効果が高いです。産後の便秘の解消及び産後の痔の改善には、根菜類や野菜類に含まれるイヌリン水溶性食物繊維がお勧めです。ここでは、産後の女性にとって、とても辛い便秘と痔についてお話します。

 1. 産後の便秘

  便秘はもともと女性に多い症状ですが、妊娠時や出産時には、より一層便秘が顕著に現れます。妊娠中は、女性ホルモンの変化及び胎児の成長で大きくなった子宮が腸を圧迫することで便秘が生じます。出産によって、便秘が解消することもありますが、産後も便秘が続く女性も非常に多いです。出産経験のある女性は、更年期になって直腸瘤や子宮脱などを原因として便秘が生じる更年期便秘が生じやすくなります。産後の便秘は、さまざまな原因で生じます。以下に、その代表的な便秘の原因についてみていきます。最初に、出産・分娩時の便秘についてお話します。 

出産・分娩時の便秘

  出産時は期待と不安でいっぱいです。陣痛でお腹が痛い上に、分娩時の排便・便秘に対する不安も生じます。それは、出産予定日前に浣腸をするなどして便秘で溜まった便を排出しておきませんと、赤ちゃんと一緒に便が出てしまうためです。それ以外にも、便秘が出産に影響しないかと心配している妊婦さんもきっと多いことでしょう。便秘は、出産・分娩に影響します。出産時に便秘ですと、微弱陣痛といって陣痛が弱くなり、出産がスムーズにいかなくなります。出産時の便秘は、難産を引き起こします。また、赤ちゃんの出産と同時に排便が起こりますと、単に、排便の恥ずかしさだけでなく、問題は、赤ちゃんが便に触れることにより、赤ちゃんに感染症が生じることです。排便による感染症は、生まれた直後の赤ちゃんのみならず、出産で出血するお母さんにも生じることがあり、母子ともに、排便による感染症には注意が必要となります。このように、出産・分娩時の便秘は、正常な分娩に影響しますので、遅くも陣痛が始まる前までには解消しておくことがとても重要となります。

会陰切開と便秘

  出産直後に、便秘になることがあります。出産・分娩の約70~90%に会陰切開が行われています。初産の人で90%、経産婦さんで70%の人に会陰切開が行われています。会陰切開が行われますと、出産後の排便時に「上手にいきめない」ため、これが原因で産後の便秘が生じることがあります。会陰切開とは、出産時、赤ちゃんが出てくるときに、会陰が十分に伸びていないとお母さんの肛門や直腸までもが裂傷を起こす危険性があり、それを防ぐために、ハサミで会陰を切ることをいいます。会陰は、膣の出口と肛門の間の部位のことをいいます。会陰切開部位の縫合の痛みは、陣痛よりも痛いという人もいるくらい、痛みが強く感じられます。このように、会陰切開では激しい痛みを伴うために、出産後の排便時に、その傷が開くのではないかという不安感や恐怖心、あるいは実際に会陰切開部位に痛みを感じるために、排便時のいきみがうまくいかなくなり、排便困難となって便秘が生じます。

帝王切開と便秘

  帝王切開で出産した場合でも、会陰切開と同様に、産後の便秘が生じます。帝王切開の場合は、切開した部分の傷がまだ治りきっておらず、傷の痛みで排便時にいきめないことが多いです。痛みのため、いきむのが怖いという恐怖心が、便秘の原因となります。初産が帝王切開ですと二人目の出産も帝王切開となることが多いです。この場合、二人目の出産時の帝王切開では、一回目の帝王切開による傷の癒着のために、手術時間がかかったり、あるいは帝王切開の傷の癒着によって便秘が生じることがあります。帝王切開後は、硬い便となり、排便困難となって便秘が生じるのです。癒着とは、臓器と臓器とが接着することをいいますが、帝王切開では、切開部位と小腸又は大腸とが接合するために、腸の管が狭くなり、それにより便が腸管の中を通りにくくなって便秘が引き起こされます。腸の癒着がひどくなりますと、腸閉塞を起こすことがありますので、便秘に対する予防対策が非常に重要となります。

産後の母乳・授乳と便秘

  産後、赤ちゃんに授乳を始めてから、排便の際に肛門が切れてしまうほど便が硬くなり、便秘が引き起こされます。母乳育児ではない場合にも、乳腺炎の予防等の理由で、乳腺に溜まった母乳をしぼり除去しますが、このような母乳の処理によっても便秘が生じます。

 授乳又は母乳の排泄処理を行いますと、お母さんの血液などに含まれる体液水分が失われます。体液水分が失われますと、それを補おうとして、大腸からの水分吸収が促進され、その結果、硬い便となって便秘が生じます。私たちの体の中の水分は、主に大腸で吸収されているので、体内水分欠乏による水分吸収の促進は、便秘を起こしやすくなるのです。例えば、授乳の場合、生後4週目(28日目)の新生児が必要とする1日あたりの母乳量は、10mL×28日×6回=1,680mLと計算されます。新生児の個体差もありますが、生後1か月ごろでは、1日あたり約1.7リットルの体液水分量が、お母さんの体内(主に血液中)から消失していることになるのです。1回あたりの全血献血の最大量は、0.4リットル(400mL)ですので、授乳によるお母さんの体液水分量の消失はいかに多いかがわかります。しかも、授乳は、毎日となりますので、便秘が高頻度で発生する原因となります。 

産後における肛門括約筋の機能低下による便秘

  産後の便秘の原因に、肛門括約筋の筋力低下があります。肛門括約筋は、肛門を開いたり閉じたりするための筋肉であり、排便に不可欠な筋肉です。肛門括約筋の働きが弱まりますと、肛門の開閉がうまくいかなくなり、自力で便を出す力が入らず、便が直腸内に滞留しますと便秘が生じます。逆に、肛門の閉じる機能が低下しますと、便失禁となって便が漏れることがあります。

 出産時に肛門括約筋が損傷を受けることがあります。出産による肛門括約筋の損傷は、会陰裂傷に分類されます。会陰裂傷はその重症度によって、第1度から第4度までの4段階で区別されますが、肛門括約筋の損傷は、その第3度と第4度に該当します。第3度の会陰裂傷は、肛門括約筋が断裂した状態をいい、第4度の会陰裂傷は、会陰から肛門や直腸粘膜までが損傷した状態をいいます。赤ちゃんが子宮から出る時に、お母さんの肛門括約筋が傷つくこととなります。肛門括約筋の機能低下による便秘は、産後直後の便秘の原因となりますが、産後数年あるいは数十年後にその影響が現れ、便秘が生じることもあります。

産後の骨盤底筋群の衰えによる便秘

  出産時に、会陰や肛門括約筋だけではなく、それらを含む骨盤底筋群自体にもダメージを受ける場合があり、それが原因で便秘が生じることがあります。出産による骨盤底筋群の損傷が引き金となって、骨盤臓器脱が生じ、これにより直腸が圧迫されて、便の通りが悪くなって便秘が引き起こされます。骨盤内には、子宮、膀胱、直腸などの臓器があり、これを骨盤臓器といいます。出産時にこの骨盤臓器が膣の中に落ち込み、膣壁と一緒に体外に脱出してしまうことがあります。これを骨盤臓器脱といいます。出産に伴う骨盤底筋群のダメージは、次第に修復されていきます。しかし、出産後のケアが十分でなかったり、出産を重ねたりすることでダメージが修復されず、さらに加齢に伴って骨盤底筋が緩んでしまうと、骨盤臓器脱を誘発する原因となります。したがって、産後の骨盤底筋群の損傷による便秘は、産後直後のみならず、それが原因で更年期でも生じます。出産回数の多いお母さんほど、産後に便秘が生じやすくなります。

産後の直腸瘤形成による便秘

  産後に形成される直腸瘤は、便秘の原因になります。直腸瘤の多くは、出産経験のある更年期以降の女性に多くみられます。出産経験のない若い女性にも直腸瘤がみられることがありますが、その頻度は一般に高くはないです。また、稀に男性にも直腸瘤が認められることがありますが、基本的に直腸瘤は、産後の女性に特有な症状であるといえます。

 直腸瘤は、直腸膣壁弛緩症又はレクトシールとよばれる病気であり、産後の女性に特有の排便障害、つまり便秘症のことをいいます。直腸瘤では、肛門が広がる大きさよりも、直腸下部が大きく広がり過ぎる傾向にあります。そのため、便が硬くなり、しかも太い便となるために、肛門からの便の排泄が困難となって便秘が生じます。また、硬くなったコロコロ便が、肛門の真上に落ちず、広がった直腸の隅に落ちてそこに引っ掛かり、いきんでも便が肛門の周囲に溜まってしまい、肛門口へ移動しないために排便困難となって便秘が生じます。女性は、骨盤内が男性に比べて大きいために、直腸が広がるスペース・空間がたくさんあるために、容易に直腸が広がって直腸瘤が形成されます。直腸瘤は、出産による骨盤臓器脱の一種となります。

 直腸瘤が原因となる便秘は、生活習慣の改善や下剤の投与などでは解消しません。それゆえ、直腸瘤による便秘は、スーパー便秘とよばれることがあります。

産後の睡眠不足と運動不足による便秘

  産後の育児による睡眠不足と運動不足も便秘の原因となります。新生児の授乳は、昼夜を問わず、3~4時間ごとに行われ、おむつの交換も頻繁に行われます。このような赤ちゃんの育児が必要となりますが、その間、お母さんは眠ることができず、睡眠不足となります。眠っているときは、副交感神経という自律神経が活発になります。副交感神経は、排便に必要な腸の運動を促進させる働きがあり、便秘になるのを防いでいます。しかし、睡眠不足になりますと、副交感神経の働きが鈍くなり、それによって腸の運動も抑制されて便秘が引き起こされます。産後の育児は、毎日続くものですから、連日の睡眠不足は便秘の原因となるのです。

 お母さんは、産後の育児のために、絶えず赤ちゃんの近くにいることとなります。そのため、自由な行動が制限されるために運動不足となり、それが原因で便秘となります。運動不足では、全身の筋力が低下します。私たちは、排便のためにいきむ際に、腹筋を使っています。腹筋を使っていきむことで、腹圧が上がり、それにより大腸が刺激され、大腸の蠕動運動が促進されて排便が起こります。しかし、運動不足で腹筋が衰えますと、その機能が鈍り、宿便となって便秘が生じます。また、運動は、副交感神経を活発にしますが、運動不足になりますと、睡眠不足と同様に、副交感神経の機能が鈍り、それによって便秘が生じます。

産後の肥立ち、育児ストレス及び産後クライシスによる便秘

  産後は、出産前に比べて生活環境が変わりますので、それで精神的にストレスが蓄積し便秘が引き起こされます。ストレス性便秘といいます。精神的情緒不安定となることで、腸の運動が抑制されて便秘が生じます。産後の育児は大変です。授乳やおしめ交換など、お母さんは寝ずに対応しなければなりません。そのため、イライラ感が積もって育児ストレスとなり便秘が生じます。育児のために、便意があっても我慢してトイレに行かないことも多いと思いますが、排便の我慢は便秘の原因となります。産後の肥立ちが悪い状態ですと、女性ホルモンが妊娠前の状態に戻れない状態となり、その影響で便秘が生じます。産後クライシスとは、産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況のことをいいます。産後の体調不良、ホルモンバランスの乱れ、夫の意思疎通、産後の仕事復帰などの精神的不安によって産後クライシスが生じます。それと同時に便秘も引き起こされます。産後クライシスの原因と便秘の原因とがメカニズム的に共通するためです。

産後授乳中の便秘薬・下剤は使用禁忌

  産後の授乳中は、便秘の症状が悪化してしまうことがあります。そこで、便秘薬や下剤の使用を考えるのですが、便秘薬の「使用上の注意」には、授乳婦さんは服用を避けることと記載されています。これは、便秘薬や下剤の有効成分が、その服用によってお母さんの消化管から吸収されてしまい、血液中に移行した後、乳汁中に蓄積されるためです。乳汁中に便秘薬の有効成分が移行しますと、それを飲む乳児が母乳を介して下剤成分を摂取することになり、そのため、その母乳を飲んだ乳児は激しい下痢をしてしまいます。このような理由により、産後の授乳婦さんが便秘薬や下剤を服用することを禁止しています。

産後の痔と便秘

  産後、痔で悩まされるお母さんは非常に多いです。産後は、切れ痔やいぼ痔になりやすいです。産後、痔になりやすい原因は、出産時のいきみと産後の便秘によるものです。産後の痔は、そもそも妊娠中からその素因があります。妊娠中の便秘で腹圧が高まり、そのため肛門周辺がうっ血しやすくなります。肛門周辺のうっ血は、痔の原因となります。つまり、妊娠中は、痔が形成される環境が整っているといえます。出産時は、赤ちゃんを産むために強くいきむことになりますが、それによって肛門に負担がかかり、いぼ痔ができます。産後はさまざまな原因で便秘になりますが、便秘状態で排便のために強くいきみますと、切れ痔になります。産後の便秘は、また産後の痔の原因となるのです。

2. 産後の便秘対策

  産後に生じる便秘の特徴は、下剤や便秘薬では十分にコントロールすることができない点にあります。また、産後に生じる便秘は慢性化したものが多く、一過性ではないので、いわば慢性便秘症に似たものがあります。下剤や便秘薬は、一過性の便秘に対しては有効なのですが、それらを繰り返し使用しますと便秘解消効果が消失するために、慢性便秘症あるいは繰り返す便秘には有効ではないということになります。産後の便秘対策には、長期使用しても安全性に問題がなく、また効果が減弱することなく持続する対策が求められます。とりわけ、授乳婦さんの便秘対策においては、乳児に影響が及ばない対策が求められます。

 産後の便秘にとても有用であるといわれているのが、天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維です。イヌリン水溶性食物繊維は、ゴボウ、玉ねぎ、アスパラ、ニンニクなどの根菜類や各種の野菜に含まれる天然成分の食物繊維です。野菜や根菜類に含まれる食物繊維のほとんどが、セルロースを主体とした不溶性食物繊維ですが、イヌリン水溶性食物繊維は、水によく溶ける食物繊維で、不溶性食物繊維とは生理機能が全く異なります。イヌリン水溶性食物繊維は、水によく溶けるために、大腸に生息するビフィズス菌酪酸菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となって、それらの善玉菌を増やす働きがあります。イヌリン水溶性食物繊維は、善玉菌を増やすことによって腸内環境を整え、正常な便通に寄与します。硬くなった便を軟らかくし、しかも善玉菌が増えることによって排便に必要な便の量を増やします。食欲不振で食事の摂取量が低いときでも、排便に必要な便の量が増えますので、このような場合にも便通が改善されます。

 イヌリン水溶性食物繊維は、下剤や便秘薬とは異なり、反復使用しても便秘改善効果が減弱しない特徴があります。また、便秘薬とは異なり、消化管から吸収されないので、授乳中の乳児への影響もございません。妊娠中の胎児への影響もございません。慢性便秘や便秘が続く場合でも、有効性が持続する利点があります。産後の便秘は、長期にわたりそれが継続しますので、そのような便秘にはイヌリン水溶性食物繊維が有用であるといえます。とはいえ、根菜類や野菜類に含まれるイヌリン水溶性食物繊維の含有量は非常に少ないために、イヌリン水溶性食物繊維で便秘対策を講じる場合には、市販のイヌリン水溶性食物繊維の製剤を活用する方策がとられることとなります。今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維が、健康補助食品として市販されています。下剤や便秘薬でコントロールすることができない産後の便秘の改善と予防に、このような健康補助食品を活用することも有用です。また、産後の便秘を改善することによって、産後の痔の形成も抑制されますので、イヌリン水溶性食物繊維は、便秘のみならず痔にも有効であるといえます。

 産後の便秘は、さまざまな要因で生じます。また、産後の痔の原因の多くが、産後の便秘です。産後の便秘を予防し、あるいは改善することによって、産後の痔もまた解消されます。お母さんの産後に生じるさまざまな症状を克服してはじめて、育児に専念することができます。赤ちゃんの健康も大事ですが、まずは赤ちゃんのケアを行うお母さんの健康状態を維持することが、結果として、赤ちゃんの健康維持や成長につながります。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/

大腸がんの発症原因と便秘:便秘は大腸がんの原因となる!

近年、がん疾患の中でも、大腸がんが急激に増加しています。食習慣の欧米化が、増加する大腸がんの原因であるといわれていますが、食習慣の欧米化とは、食物繊維の摂取量の低下であり、これが大腸がん発症の原因であると考えられています。食物繊維の摂取量の低下は、腸内環境を悪化させ、病原性の腸内細菌(悪玉菌)を増やすこととなります。近年増加する大腸がんの発症原因について不明な点が多かったのですが、今では、大腸がんの発症原因としての腸内細菌の関与が注目されています。アメリカのジョーンズ・ホプキンス大学医学部の研究によれば、大腸がんは、全ての人に生息する腸内細菌であるバクテロイデス・フラギリス菌という腸内細菌が、大腸がんを発症させるというものです。フラギリス菌には、毒性成分を生成するタイプと毒性成分を生成しないタイプの2種類があり、毒性成分を産出するタイプのフラギリス菌は、下痢を引き起こし、大腸炎を引き起こして、さらには大腸ポリープをがん化して、大腸がんを発症させるというものです。便秘は、このような悪玉菌を増やす環境にあるといえます。つまり、便秘は、腸内の悪玉菌を増加させ、腸内環境を悪化させます。それにより、大腸がんの発症リスクが高まります。大腸がんの前がん状態である大腸ポリープの発症にも、腸内細菌が関与します。大腸がん及び大腸ポリープの外科治療では、大腸の一部組織を手術により摘出切除することになりますが、この外科治療の後に排便機能障害としての便秘が生じます。大腸がんの発症リスク要因としての便秘は、大腸がんの発症及び治療後の何れにも係る重大な症状であると認識することがとても重要となります。単に便秘とは考えず、日常的に便秘の対策が求められます。大腸がん、大腸ポリープ、あるいはそれらの疾患治療のために行われた手術後の便秘対策として、腸内環境の改善が、非常に重要となります。大腸がんあるいは大腸ポリープ発症の原因となる腸内環境の悪化を改善するのに有用な天然成分は、イヌリン水溶性食物繊維です。イヌリン水溶性食物繊維を摂取することによって、大腸がんあるいは大腸ポリープの予防が期待され、また大腸がん等の手術後に生じる便秘についても改善されます。イヌリン水溶性食物繊維は、ビフィズス菌酪酸菌あるいは乳酸菌などの善玉菌を特異的に増やす作用に優れ、これにより、大腸がんや大腸ポリープの発症原因となるフラギリス菌等の悪玉菌の増殖を抑えます。腸内環境の改善は、大腸がんの発症予防につながります。また、大腸がんの再発リスクも抑えることになります。ここでは、大腸がんの発症にかかわり、また大腸がん摘出手術後に生じる便秘についてお話します。

大腸がんと便秘

  広義の大腸臓器(長さ約2メートル)に分類される盲腸、結腸、直腸及び肛門に発生するがんを大腸がんといいます。その大腸を構成する大腸組織の中で、日本人の大腸がんは主にS状結腸と直腸にできやすいといわれています。S状結腸と直腸での大腸内容物は、水分がほとんど吸収され、排泄される便のように固化した状態にあります。便秘は、ちょうどS状結腸と直腸に便が滞留した状態にあります。このように、大腸がんの発生部位と便秘での便滞留部位は一致するため、大腸がんの発生原因に便秘が疑われることとなります。

 大腸がんには、大腸の粘膜細胞から生じる良性の大腸ポリープ(腺腫)ががん化して発生するものと、正常な粘膜細胞から直接発生するもの、の2つがあります。大腸粘膜細胞は、大腸内容物(便の原型)と直接接している細胞であり、便内容物に含まれる発がん性物質が大腸がんを発生させるとの学説があります。また、便内容物に含まれる特定の腸内細菌が大腸がんを発生させるとの報告も多くあります。大腸がんが、どのようなメカニズムで発生するのかについては不明な点が多いのですが、最近の研究によれば、特定の腸内細菌が大腸がんを発生させるとの学説が有力となっています。全ての人の大腸内に生息するバクテロイデス・フラギリス菌という腸内細菌が、大腸がんの発症に深く係っていることが報告されています。フラギリス菌には、毒素成分を分泌するタイプのものと、毒素成分を生成しないタイプの2種類があり、毒素成分を生成・分泌するタイプのフラギリス菌(悪玉菌)は、下痢を起こし、大腸炎を発症させ、さらには大腸ポリープをがん化して大腸がんを発症させるというものです。便秘では、いわゆる腸内細菌の悪玉菌が増えた状態となっていますので、大腸がんと便秘との関係においては、悪玉菌となる腸内細菌がその関係の中心にあるといえます。便秘は、大腸がん発症のリスク要因となり、腸内環境を整えること(善玉菌である乳酸菌、ビフィズス菌酪酸菌を増やすこと)が、大腸がんの予防とその進展抑止に有効であると考えられています。また、腸内環境の改善は、大腸がんの前癌状態である大腸ポリープの形成抑制にもつながります。

 大腸がんの早期では、特に自覚症状はありません。大腸がんが進行しますと、血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細くなる、残便感、腹部膨満感、腹痛、貧血や体重の減少などの症状が現れます。大腸がんでは、血便の頻度が高くなりますが、痔でも血便が生じるために、血便は大腸がん特有の症状とはならないことがあります。このように、大腸がんに特有の症状がないために、大腸がんであっても大腸がんとはなかなか気付かないことが多く、早期発見の障壁となっています。大腸検査は、一般化しつつありますが、検査前の腸内洗浄プログラムの苦しさ、肛門から造影剤注入のためのチューブの挿入における恥ずかしさ、造影剤の注入による排便刺激の辛さ等があるために、大腸検査を受けることに躊躇する人も多いのも事実です。近年、がん疾患の中でも大腸がんの増加がよく知られていますが、大腸がんの減少に結びつかない理由は、このような特徴のない症状や検査のあり方がその背景にあるものと思われます。

大腸がん手術後の便秘と排便障害

  大腸がんの治療には、外科手術、抗がん剤薬物療法放射線治療などがあります。どのように治療するのかについては、大腸がんの病期(ステージ)、年齢、合併症の有無などによって決定されます。大腸粘膜の表面に発症したがん細胞は、次第に大腸の壁に向かって深く侵入していきます。この病状の進行が拡大していきますと、リンパ節、肝臓、肺などにがん細胞が転移します。大腸がんのがん細胞が他の臓器や全身に転移した場合、外科治療は困難となりますので、抗がん剤を用いた薬物療法放射線療法が行われることとなります。他方、大腸がんの初期や転移の広がりが少ない場合には、外科治療が優先的に選択され、がんが発症している大腸の部分的切除が行われます。摘出される大腸組織の範囲及び同時に行われるリンパ節の摘出の範囲は、がんの発生した部位やがんの深さにより決定されます。大腸がん治療の多くに、大腸の部分的摘出が行われことになりますが、このような大腸がん手術後に、排便機能障害が伴うことが多いです。

 大腸がんの摘出切除術は開腹下で行われます。開腹下での手術では、腸と腸あるいは腸と腹壁との間で癒着が引き起こされます。癒着とは、臓器組織同士が接着することをいいます。このため手術後、食べた食べ物の腸管内での通過が悪くなり、腹部膨満感や嘔吐が生じることがあります。ひどい場合には、腸閉塞になることもあります。大腸がんを摘出切除した場合、腸と腸とを縫い合わせます。そのため、手術後縫い合わせたところを食べ物がうまく通らず、嘔気や便秘などの排便機能障害が生じます。

 盲腸からS状結腸までの間でがんが発生した場合には、直腸を温存することができますので、一般的に重度の排便機能障害は起こりません。しかし、便秘や嘔気などの一般的な腹部症状は生じます。盲腸からS状結腸までを全て摘出切除した場合には、便に含まれる水分を吸収することができなくなりますので、便は固形化せず下痢便となってしまいます。

 便を溜める直腸にがんが発生した直腸がんの場合、直腸の一部又は全部を摘出切除するために、便秘、頻便、便意の頻回、便失禁、下痢便などの排便機能障害が生じます。直腸がんで肛門が温存できる場合、摘出切除されずに残った直腸は、結腸と縫合されますので、結腸を通過した排泄物は、そのまま残った直腸に到達します。がんが肛門に近い部位に発生した場合には、温存される直腸は比較的多くなりますので、排便機能障害も軽度ですみます。がんが肛門の近くにあり、そのため肛門を温存することができない場合には、人工肛門が造設されます。最近の手術では、肛門をできるだけ温存する方法が採用され、肛門と結腸をつなぐことが多くなりましたが、この場合、便秘などの排便機能障害は強く現れます。

 手術直後は腸の機能は安定せず、便秘、下痢、頻便、便失禁などが引き起こされます。術後2週間以上経過しますと腸の働きも安定化し、排便回数は徐々に落ち着き、固形化した形のある便になっていきます。術後、次第に排便機能障害は回復していきますが、術前と同じ排便機能までは回復しない場合があり、例えば、慢性便秘になることもあります。大腸がんの摘出切除後の排便管理としては、食物繊維の多い食事を摂ることが、排便回数の減少につながります。その他、整腸剤や下剤の使用も有効とされていますが、大腸がんの摘出切除後の排便管理で最も大切なことは食事の管理となります。

大腸がん手術後の便秘対策

  大腸がんを摘出切除した場合、術後直後は主に下痢便が生じ、その後、排便回数の減少とともに便秘が現れます。大腸がんの術後の食事管理は、排便機能障害の軽減のみならず、がん再発の防止の観点からとても重要となります。大腸がんが再発する割合は、大腸がんのステージで異なりますが、一般にステージⅠでは4%、ステージⅡで13%、ステージⅢでは30%であるといわれています。再発した患者さんの80%は、手術から2年以内に再発がみられています。ですので、手術後5年間は、再発のリスク管理がとても重要となるのです。

 大腸がんの摘出切除術を行い退院後2週間は食事の量をやや減らし、1日あたり1,200キロカロリーを目安とします。大腸がんの術後は、消化機能が弱っていますので、食事の量も減らします。健康な時に食べた食事量の約6割を目安にするとよいでしょう。1日3回に分けて食事を摂るようにします。食事の内容は、炭水化物、蛋白質、脂肪、ビタミン、ミネラル等の各栄養素がバランスよく含まれたものとし、加熱調理することで消化のよいものとします。この時期、食物繊維は控えるようにいわれることがありますが、それは水に溶けないセルロースなどの不溶性食物繊維のことで、逆に水によく溶ける水溶性食物繊維は、術後の大腸に負担をかけることもなく、便秘などの排便機能障害をむしろ軽減しますので、積極的に摂ることが大切です。退院から1ヶ月が過ぎますと、徐々に食べる量も増えていきますが、食べ過ぎには注意が必要です。この時期は、便秘や下痢などの排便機能障害が強く現れる時期でもあり、整腸作用の優れた水溶性食物繊維を多く摂るように心がけます。退院後2ヶ月が過ぎますと、普段の食事が摂れるようになりますが、暴飲暴食、アルコール類や辛みのある刺激物を含む食事は避けるようにします。この時期になりますと、排便機能障害は、ほぼなくなりますが、慢性化した便秘が続くことがあります。食物繊維、特に大腸粘膜を刺激しない水溶性食物繊維は、退院後2ヶ月が過ぎましても、継続して積極的に摂ることが大切です。

 水溶性食物繊維にも多くの種類がありますが、便秘の改善や予防及び腸内環境を整えることに優れているのは、イヌリン食物繊維とよばれている水溶性食物繊維です。ゴボウ、タマネギ、ニンニク、アスパラなどの根菜類等に含まれる天然の食物繊維です。イヌリン水溶性食物繊維は、水によく溶けますので、セルロースなどの不溶性食物繊維とは異なり、大腸粘膜を刺激する作用はございません。また、水分で膨張化することもないので、腹部膨満感を与えない特徴があります。

 イヌリン水溶性食物繊維の最大の特徴は、善玉菌であるビフィズス菌酪酸菌や乳酸菌を特異的に増やす作用に優れていることです。大腸菌ウェルシュ菌などの悪玉菌は増やさず、善玉菌のみを増やします。オリゴ糖は、善玉菌を増やしますが、同時に悪玉菌も増やしてしまいますので、腸内環境の改善力はオリゴ糖よりもイヌリン水溶性食物繊維がより優れているといえます。イヌリン水溶性食物繊維を摂取しますと、腸内環境は大幅に改善され、大腸内の善玉菌が増えることによって、便秘などの排便機能障害が改善されます。また、それと同時に、腸内環境の改善により、大腸がんの再発予防効果も期待できることとなります。このように、イヌリン水溶性食物繊維は、大腸がんの摘出切除後の食事管理にとても有用なのですが、根菜類や野菜類に含まれる量がとても少ないという欠点もあります。しかし、今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維が健康補助食品として市販されていますので、大腸がんの摘出切除後の食事管理に、このような健康補助食品を活用するのも有用です。

 大腸がん対策で重要なことは、早期発見・早期治療です。大腸検査は、とても辛くそのため検査を受けない方もおられるかもしれませんが、勇気を出して、積極的に大腸検査を受けるようにして下さい。また、大腸がんや大腸ポリープの発症予防に重要なことは、普段から、腸内環境の改善に努めることです。それには、ビフィズス菌などの善玉菌を特異的に増やす作用に優れたイヌリン水溶性食物繊維の摂取がとても有効となります。近年、大腸がんは増え続けていて、食事の欧米化がその原因であるといわれています。食事スタイルを変えることは、現代において容易ではございませんが、その中で、イヌリン水溶性食物繊維のような水溶性食物繊維を積極的にとりいれることがとても大切となります。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp

夏の便秘:その原因、予防と対策

夏は便秘になりやすいです。夏の暑さのために、腸の蠕動運動が抑制され、弛緩性便秘が生じやすくなります。便が直腸内に滞留する直腸性便秘もまた、夏の便秘の特徴です。夏の便秘は、便が硬くなりコロコロ便となります。夏の便秘は、女性のみならず、男性にも引き起こされます。夏の便秘の原因は、体内の水分不足によるものです。逆に、水分の摂り過ぎによっても便秘が生じます。夏の暑さを原因とした食欲不振とそれによる偏食も、夏の便秘の原因となります。夏の夜の寝苦しさによる睡眠不足や体のだるさ、あるいは疲労も、夏の便秘の原因となります。夏の暑さは、自律神経を乱し、それによって便秘が生じます。夏の便秘対策に有効なのは、大腸内の水分量を持続的に保つことです。イヌリン水溶性食物繊維は、大腸内の水分保持能が高く、夏の便秘予防あるいは便秘対策として、とても有効な天然成分です。ここでは、水分不足、水分過多、食欲不振、偏食、疲れあるいは睡眠不足で生じる夏の便秘の予防と対策についてお話します。

水分不足による夏の便秘

  夏の暑さは、体内水分量を低下させ、これが原因となって便秘が生じます。体内水分量の低下は発汗によるものです。夏の暑さのために、上昇した体温を低下させるために発汗が促進されます。そのため、大腸からの水分吸収が促進され、その結果、便に含まれる水分が失われて硬い便となり便秘が生じます。発汗と便秘とは、このような関係にあり、汗かきな人ほど便秘になりやすいです。夏の便秘の主原因は、暑さによる発汗の促進とそれに伴う便秘となります。成長過程にある子どもは、成人に比べて発汗が顕著ですので、夏の子どもの便秘については、特に注意が必要です。

  私たちの体温は、一定の値を示します。これは、哺乳類に共通した現象です。炭水化物、脂肪、蛋白質といった三大栄養素は、体温の源となるエネルギー源となります。とはいえ、私たちの体は、余ったエネルギー(熱)は体外に逃して、体温が上がり過ぎないような制御的体内機能も併せ持っています。その体温の調節に寄与しているのが、汗であり発汗です。発汗は、体温を下げるために最も効率的な方法なのです。汗は、体表面から蒸発するときに気化熱を伴います。気化熱とは、水分が蒸発するときに、熱源も放出することをいいます。気化熱により体内の熱を逃して体温を下げます。人は、夏の炎天下で10分間歩きますと、約100mLの汗をかくといわれています。水の気化熱は、水1mLあたり0.58kcalですので、汗が100mL蒸発する場合、58kcalの熱を奪うこととなります。体重70kgの人の熱容量は、58.1kcalですので、汗を100mLかくと体温が1度上昇するのを防ぐこととなります。

 夏の暑さのため、体温の上昇を防ぐ目的で生じる発汗を温熱性発汗といいます。その他、発汗の種類には精神性発汗と味覚性発汗とがありますが、夏の汗は温熱性発汗となります。夏の暑さで外気温が上昇し、それに伴い体温が上昇しますと、脳視床下部にある発汗中枢が指令を出して、水分の蒸発により体温を低下させようとします。つまり、発汗が促進されることとなります。この体温調節で、1時間あたり最大で2~3リットルの汗をかき、1日あたりでは最大で12リットルの汗をかくことになります。

 このように、夏の発汗量は、極めて多量であることがわかります。では、この多量の汗の主成分である水分は、体内のどこからくるのでしょうか。汗は、血液中の水分からつくられますが、この血液中の水分の多くは、大腸から吸収された水分に由来します。したがって、夏に体温を下げるために多量の汗をかきますが、発汗による体内水分不足を補うために、大腸内での水分吸収が促進されることになります。1日あたり12リットルの汗をかくとなりますと、大腸からの水分吸収も最大となります。しかし、発汗のために大腸内の水分吸収が促進されますと、排便されるべき便に含まれる水分量が極端に減少し、その結果、便は硬くなりコロコロ便となって便秘が生じる原因となるのです。夏の便秘の原因の多くが、このような発汗によるものですが、これは人の意思ではコントロールすることができず、避けることのできない生理現象となります。便秘は、多量の発汗により、便が硬くなって生じるのです。なお、多くの女性が夏に利用すると思われますが、制汗剤の使用は、体温調節にとって好ましいものではございません。制汗剤を使用しますと、熱が体内にこもってしまい、熱中症様の症状が発現して、体調不良の原因となるからです。

水分摂取過多による夏の便秘

  水分の摂り過ぎもまた夏の便秘の原因となります。意外かもしれませんが、暑い夏に水分を過剰に摂取しますと水毒症をおこし、その結果、胃腸機能の低下が生じて便秘が引き起こされます。水分の摂り過ぎは、胃腸を冷やすために胃腸機能が低下して便秘が生じるといわれることがありますが、実際は、体内水分の過多による水毒症が、夏の便秘の原因となります。

 水分を一度に多量摂取しますと下痢が生じることがあります。摂取した水分量が、水分の体内吸収容量を超えますと下痢が生じると考えられています。しかし、下痢は、腸の過剰運動で生じるために、一度下痢を起こしますと、下痢の後の水分吸収が不十分となって脱水症状が現れます。このため、下痢の後に便秘が生じるのです。夏の便秘の主要な原因ともなります。夏の下痢に関連した便秘のメカニズムは、「水分摂取過多➔下痢➔脱水症状➔便秘」となります。

 夏の水分摂取過多は、下痢のみならず水毒症の原因ともなります。成人が1日に摂取する最適な水分量は2リットル程度であるといわれています。しかし、暑い夏では、熱中症の予防の観点から、水分の摂取量が適量を超えてしまうことがあります。体内に吸収された過剰の水分は、尿として体外に排泄されます。でも、尿を作る腎臓の機能は、1分間あたり16mL程度の尿排泄が限度であり、それを超える量の過剰な水分は、体内に貯留してしまうことになります。その結果、貯留された水分によって血液が希釈されて、低ナトリウム血症が引き起こされます。

 水毒症になりますと、便秘、胃腸機能の低下、むくみ、頭痛、口渇感、疲労感、だるさ、めまい、嘔吐、吐き気、神経過敏、注意力の散漫等の症状が現れます。重度の水毒症では、痙攣や意識混濁に陥ることもあります。胃腸機能が低下しますと、腸の蠕動運動が抑制されるために便秘が生じます。お腹あたりを軽く叩きますと、ちゃぷちゃぷという音がする場合は、腸内に多量の水分が溜まっている状態です。熱中症予防でこまめな水分補給はとても大切なのですが、水分の摂り過ぎは、反って、体調不良の原因ともなりますので、適度な水分補給が重要となります。

食欲不振・偏食による夏の便秘

  夏の食欲不振は、便秘の原因となります。水分不足や水分過多と同様に、夏の食欲不振は、夏の便秘の原因となります。ダイエットを望む女性は、夏の食欲不振を歓迎するかもしれませんが、実は、夏の食欲不振に陥りますと、秋から冬にかけて、そのリバウンドが生じ、反って、太ってしまうのです。夏の食欲不振は、直接的に夏の便秘の原因となります。

 まずは、夏に食欲不振が生じる原因について整理してみましょう。なぜ夏に食欲不振が生じるのかについてですが、第一に、基礎代謝が下がることが挙げられます。寒い冬は、体を温めようとして基礎代謝が上がります。他方、暑い夏は体を温める必要がないため、基礎代謝は下がります。基礎代謝が下がるということは、体内の熱を作る必要がないということになります。体内の熱源は、食物から摂取する炭水化物、脂肪、たんぱく質アミノ酸等のカロリー源に依存します。したがって、これらのエネルギー源を含む食事は、食欲不振の下、必然的に要求されないことになり、このような夏の食欲不振の下で食事の量が減ります。食事の絶対量が減りますと、排便に必要な便の形成が不十分となり、その結果、便秘が生じます。

 第二に、食欲不振に陥る原因に自律神経の乱れがあります。食欲を感じるときは、副交感神経が優位となって、食べることへの欲求が高まります。他方、暑い夏のように、気温が上昇し体温が上昇しますと、交感神経が優位になります。つまり、暑い夏は、胃腸機能を活性化する副交感神経の機能が相対的に低下し、その結果、腸の蠕動運動が抑制されて便秘が生じます。これらの一連の体内機能変化をまとめますと、「暑い夏→副交感神経の機能低下→胃腸機能の低下→腸蠕動運動の低下→排便障害→便秘」となります。このように、夏の食欲不振は、自律神経系が影響し、さらに、この自律神経への影響は、夏の便秘の原因となります。

 以上のように、夏の便秘の原因として食欲不振が挙げられますが、この原因には、食欲不振による食べ物の摂取低下を原因とした排便のための不十分な便の形成及び自律神経に関連した腸の運動の抑制が、夏の便秘の原因と考えることができます。

 暑い夏は、食欲不振も重なって、食べるものが偏りがちになり、それが原因で便秘が生じることがあります。夏に食欲が低下しますと、どうしても、そうめん、冷うどん、ざるそば、冷やし中華など、冷たい麺類だけで食事を済ませる人もきっと多いことでしょう。しかし、冷たい麺類の食事献立では、絶対的に食物繊維の摂取量が低下します。食物繊維の摂取量が低下しますと、排便に必要な十分な量の便が形成されずに、便秘が引き起こされます。また、キュウリやナスなどの夏野菜が苦手な人が意外に多く、そのため、偏食となってしまい便秘が生じる原因となります。ちなみに、そうめんの1人前のカロリーは、ご飯の1.4倍ありますので、夏にそうめんばかり食べていますと、夏太りの原因となります。夏太りは、便秘を悪化させる原因となります。

睡眠不足・疲れによる夏の便秘

  夏の睡眠不足や寝不足は、夏バテを引き起こし、またそれは便秘の原因となります。夏の夜は湿度が高く、また気温もなかなか下がらないので、睡眠不足や寝不足になりがちです。熟睡眠が得られず、体調不良を感じる人もきっと多いことでしょう。

 睡眠不足の状態が続きますと、自律神経が乱れ、またホルモンバランスが崩れたり、新陳代謝が低下します。自律神経は、血液循環、呼吸、発汗、体温調節、生殖機能、体内代謝などの生命を維持するために欠くことのできない働きがあります。また、自律神経は、排便に不可欠な腸の運動機能を調節しています。夏の暑さで睡眠不足となり、その結果、自律神経が乱れますと、腸の蠕動運動が抑制されて便秘が引き起こされます。

 夏は、誰でも疲れやすくなります。これは、高温多湿という環境下で、体にストレスがかかるためです。夏に「体がだるい」といった徴候は、疲れの典型的な例です。また、涼しい室内と暑い屋外という日常生活における急激な気温差も、夏の疲れの原因となります。このような夏の疲れは、睡眠不足を誘発させ、また自律神経を直接的に乱す原因となり、これらが引き金となって便秘が生じます。

 以上のように、夏の体調不良の多くは、いわば自律神経失調症と類似する点が多く、夏の便秘もまた、自律神経失調症の延長線上にあるといえます。クーラー病や冷房病も、自律神経系の乱れにより生じ、夏の便秘の原因となります。

夏の便秘対策

  夏に生じるさまざまな症状、夏の体調管理で最も大切なことは、体内水分量のコントロールです。体内水分量を適切にコントロールすることで、便秘をはじめ、さまざまな夏の不快症状が解消されます。ただし、体内水分量のコントロールは、単に、摂水量のコントロールだけでは、うまくいきません。適切な水分の摂取量には個体差があり、しかも、暑い夏では喉の渇きなど水分摂取の必要性を感じたときのみ、水分を摂取するからです。気象予報士が、「明日は気温が高いので、熱中症の予防のために、水分をこまめに摂るようにして下さい」といいます。でも、「水分を」のところで、水分100mL、200mLを……というように、具体的な「水分の量」を言っていませんね。また、「こまめ」のところで、こまめとは、1時間おき、2時間おき……、具体的な水分の摂取間隔についても述べていませんね。これは、個体差あるいは水分を必要とする環境の差がさまざまであるために、一概に言うことができないためです。

 それでは、夏の便秘対策として、いかに体内水分量をコントロールすべきかについてですが、大切なことは、大腸内の水分保持量を確保することです。これは、上記のように、水分摂取量の調整では最適な方法であるとはいえません。そこで、大腸内の水分量を保持するのに役立つのが、イヌリン食物繊維などの水溶性食物繊維です。

 食物繊維は、セルロース(野菜類、根菜類の主要な食物繊維)などの水に溶けない不溶性食物繊維とイヌリン食物繊維などの水に溶ける水溶性食物繊維とに区分することができます。私たちが、普段の食事から摂取している食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。野菜類や根菜類に含まれる水溶性食物繊維は、ほんのわずかな量ですが、少量ながらもほぼ毎日接収しています。

 水に溶けた状態の水溶性食物繊維は、水分子と容易に結合し、溶液中では水溶性食物繊維と水分子とが結合した状態で存在しています。これを、水溶性食物繊維の吸水性といいます。不溶性食物繊維には、この吸水性はございません。水溶性食物繊維と水分子との結合は弱いものなので、水溶性食物繊維に結合した水分子は、徐々に解離していく性質があります。すなわち、大腸内に水溶性食物繊維が適度に存在すれば、大腸内の水分量は保持され、しかも、徐々に水分子が離れていきますので、急激な体内水分吸収は抑えられ、水分の過剰吸収は抑えられることとなります。換言するならば、夏にみられる水毒症は避けられることとなります。また、硬くなった便も、水溶性食物繊維に結合した水分によって軟らかくなります。水溶性食物繊維によって大腸内の水分量が保持されますと、便秘の予防や改善のみならず、熱中症対策にもなります。特に、便秘や熱中症にかかりやすい高齢者にとって、イヌリン水溶性食物繊維は極めて有用な食物繊維であるといえます。

 このように、水溶性食物繊維は、夏の便秘対策で最も有効な天然成分であるといえます。特に、代表的な水溶性食物繊維であるイヌリン水溶性食物繊維には、水分保持能以外にも、大腸に生息するビフィズス菌酪酸菌や乳酸菌などの善玉菌を特異的に増やす作用に優れていますので、腸内環境を改善し、それが複合的に便秘の解消につながります。イヌリン水溶性食物繊維は、夏の便秘対策として、理想的な天然素材であるといえます。今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維が、健康補助食品として市販されています。夏の便秘対策及び熱中症対策に、このような健康補助食品を活用することも有用です。

 夏の便秘対策は、単に便秘の改善のみに注目するのではなく、熱中症をはじめとした夏に生じるさまざまな不快症状の対策にも留意する必要があります。まずは、イヌリン水溶性食物繊維などの水溶性食物繊維を積極的に活用し、大腸内の水分を十分に保持、確保することが、夏の便秘や夏の不快な諸症状の対策になります。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気で食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/

抗がん剤治療に伴う便秘

抗がん剤の副作用として便秘が生じることがあります。便秘を起こしやすい抗がん剤には、オンコビン、ビンブラスチン、ナベルビンなどがあります。これは、抗がん剤によって末梢神経や自律神経が障害されるために、排便を促す腸の蠕動運動が抑制されるためです。また、抗がん剤ではないのですが、抗がん剤の副作用である吐き気や嘔吐を止める制吐剤によっても便秘が生じます。便秘を引き起こす代表的な制吐剤は、ゾフラン、カイトリルなどのHT3受容体拮抗剤です。さらに、がんの痛みを抑える鎮痛剤によっても便秘が生じます。抗がん剤あるいはその副作用を軽減させるために処方される薬剤等の直接的な影響だけでなく、抗がん剤治療による精神的ストレス、抗がん剤治療による消化器症状のために食事量や摂取水分量が減少する、あるいは抗がん剤治療による体のだるさからベッドで横になる時間が長くなる,等も便秘を引き起こす原因となります。抗がん剤治療で生じる便秘は、腸管の麻痺をきたし、生命に危険が及ぶ腸管閉塞を引き起こすこともあります。抗がん剤治療に伴う便秘は、複合的な要因から、下剤だけではコントロールすることが難しく、他の便秘対策、とりわけ便秘にならないようその予防が重要となります。抗がん剤治療中は、さまざまな要因で便秘が起こります。それが原因で吐き気や食欲不振がひどくなり、抗がん剤治療そのものの効果も上がらなくなることもあります。抗がん剤治療に伴う便秘には、天然成分のイヌリン水溶性食物繊維が効果的です。ここでは、抗がん剤治療に伴う便秘についてお話します。

 抗がん剤治療とは

  がんの抗がん剤治療は化学療法ともよばれ、手術及び放射線治療と並んで、がん治療の3本柱の1つとなっています。がん細胞が体の限られた部位(局所)にのみ存在する場合、手術や放射線治療が適用されます。しかし、がん細胞が全身に転移した場合には、抗がん剤治療のみが唯一のがん治療法となります。

 抗がん剤とは、がん細胞が分裂増殖(がん細胞が増えること)する過程に作用し、がん細胞の増殖を抑制する薬剤のことをいいます。抗がん剤には、がん細胞が成長するのに必要な物質の生合成を阻害したり、あるいはその逆にがん細胞の成長因子を過剰に生合成させることによって、最終的にがん細胞の増殖を抑制し、がん細胞の死滅を促進させる作用があります。

 抗がん剤治療が行われる目的は、①がんの病巣を完全に破壊して完治を目指すこと、②手術前に抗がん剤を投与し、がん病巣を小さくすることで、手術によるがん治療効果を最大限にすること、③がん手術後のがん細胞の移転や再発を抑制すること等,がん治療の主体となるもの及び他のがん治療法の効果を補助する役割があります。がんには、さまざまな種類がありますが、手術などの治療法が対象とならない白血病悪性リンパ腫などの血液がんでは、抗がん剤治療が第一選択となり、抗がん剤の果たす役割は大きいものとなります。ただし、抗がん剤治療で腫瘍の縮小がみられても、完全に消失しない場合もありますので、「抗がん剤が効く」ということは、必ずしも「治ること」を意味しないので、この点についてはよく理解することが大切です。

 抗がん剤には、内服薬と注射剤の2種類があります。内服薬及び注射剤の抗がん剤を注入しますと、抗がん剤の主成分が全身に分布し、そのため副作用が強く現れることがあります。そこで、肝臓がん治療のように、カテーテルを肝臓の動脈に挿入し、そこから抗がん剤を注入する局所投与法が用いられることがあります。このような抗がん剤の局所投与法では、がん組織に高濃度の抗がん剤を分布させることができるので、治療効果が高まり、また抗がん剤の全身への分布が抑えられるために、副作用の発現が少なくなる利点があります。抗がん剤を用いた実際の治療では、通常、抗がん剤を投与する治療日と投与しない日を組み合わせて行われます。抗がん剤を投与する治療期間は1~2週間程度が設定され、抗がん剤を投与しない休薬期間も1~2週間設定されます。これを交互に行って、がん治療を進めていくことになります。抗がん剤を用いたこのような治療法は、必ずしも入院の必要がなく、外来診療・治療が可能となるため、日常生活を過ごしながら、がん治療を受けられる利点があります。

 抗がん剤の種類

  抗がん剤には、代謝拮抗剤、プラチナ製剤、アルキル化剤、ホルモン剤、植物アルカロイド、抗がん性抗生剤、分子標的薬、生物学的応答調節剤などさまざまな種類があり、単独又はそれらを組み合わせて治療が行われます。また、がんの種類によって、用いられる抗がん剤が異なることがあります。例えば、肺がんに対する抗がん剤治療では、シスプラチンやカルボプラスチンなどのプラチナ製剤に、他の抗がん剤を加えた2剤併用療法が標準的な治療法となっています。乳がん抗がん剤治療では、シクロホスファミド、メトレキサート、フルオロウラシルの3剤を組み合わせたCMF療法が行われます。子宮がんや卵巣がんでは、主にシスプラチンが用いられます。脳腫瘍では、アルキル化剤であるニムスチンやラニムスチンあるいはテモゾロミドなどの抗がん剤が用いられます。食道がん抗がん剤治療では、シスプラチンとフルオロウラシルの組み合わせによるPF療法が行われ、胆嚢がん及び膵臓がんでは、ゲムシタビンが用いられます。胃がんでは、シスプラチンやイリノテカンが用いられます。大腸がんに有効な抗がん剤は、フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン、テガフールなどです。膀胱がんは、抗がん剤に比較的効きやすく、また前立腺がんでは、ドセタキセル抗がん剤が有効です。白血病では、抗がん剤がよく効くために、各種の抗がん剤が治療に用いられます。多発性骨髄腫の抗がん剤治療では、メルファランやシクロホスファミドが用いられます。最近では、がん抗体を用いた免疫治療も行われています。

 抗がん剤治療の副作用

  抗がん剤を用いた治療では、さまざまな副作用が発現します。一般に、抗がん剤は、活発に増殖する細胞に対して治療効果を及ぼすために、がん細胞のみならず、腸管、骨髄、皮膚あるいは毛母細胞など、細胞が分裂し増殖することで生体としての機能を維持している正常な組織や臓器にも影響を及ぼし、そのため副作用が発現することとなります。抗がん剤の副作用は、正常細胞までも障害を与えてしまうことにより発現することになります。

 抗がん剤で生じる主な副作用には、脱毛、倦怠感、貧血、感染症口内炎、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、アレルギー及び便秘などがあります。脱毛は、毛髪をつくる細胞が障害をうけることにより生じます。頭髪や眉毛の脱毛が起きます。脱毛は、抗がん剤治療開始後2~3週間で始まります。倦怠感は、抗がん剤治療を重ねるにつれて強くその症状が現れます。抗がん剤治療終了後においても、長期にわたり持続することがあります。貧血は、抗がん剤治療によって赤血球やヘモグロビンの量が減ることによって生じます。感染症は、各抗がん剤に共通する副作用です。抗がん剤治療によって骨髄の造血細胞が障害をうけるために白血球が減少し、それにより免疫力が低下して感染症が生じます。口内炎は、抗がん剤によって、粘膜細胞が傷害をうけるために生じます。口内炎の回復には時間を要します。吐き気と嘔吐は、抗がん剤が脳の嘔吐中枢を刺激し、また食道や胃の粘膜を傷つけるために起こります。各抗がん剤ともにアレルゲンとなることが多く、それにより薬剤性のアレルギー反応が生じます。抗がん剤治療で生じる下痢には、腸管の蠕動運動が活発になるものと、腸管の粘膜細胞が傷つき生じるもの、の2つのタイプがあります。特に、イリノテカンは激しい下痢を引き起こします。また、フルオロウラシルとの併用療法では、高頻度に下痢が生じます。便秘もまた、抗がん剤治療でよくみられる副作用です。便秘については、以下にて詳細にみていきます。

 抗がん剤治療の副作用としての便秘

  各種の抗がん剤治療で便秘が生じます。特に、便秘を起こしやすいのは、ビンクリスチン(オンコビン)などの植物アルカロイド系の抗がん剤です。ビンデシン、ビンブラスチン(エクザール)、ビノレルビン(ナベルビン)、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)などの抗がん剤でも便秘が起こります。タキソールやタキソテールは、さまざまながん治療で用いられる薬剤ですので、抗がん剤の副作用として便秘に苦しむ患者さんは非常に多いといえます。イリノテカンは、重度の下痢の後に便秘が生じ、難治性の麻痺性イレウスになることもあります。

 抗がん剤で便秘が生じる原因は、副作用としての末梢神経障害と自律神経障害が生じ、腸管の運動や腸内容物の運搬が妨げられるためです。薬剤の副作用で生じる便秘のことを医原性便秘といいます。抗がん剤治療で生じる便秘は、医原性便秘となります。抗がん剤治療で生じる便秘で問題となるのは、下剤では抗がん剤による医原性便秘をコントロールすることができないという点です。また、抗がん剤治療で便秘が生じますと、体内で役割を終えた抗がん剤の便への排泄が滞り、それにより役割を終えた抗がん剤が再度腸管から吸収されて、他の副作用が増強されます。腸閉塞に至らぬよう、日々の便秘対策や便秘予防がとても重要となります。

 胃がん、大腸がん、肝がん、胆嚢がん、膵臓がん、子宮がん、卵巣がんなどの治療では、がん臓器の摘出手術が行われることが多いです。今では、腹腔鏡による手術も行われますが、開腹手術も高頻度で行われます。腹の内部、つまり腹腔は空気中の酸素が乏しい環境にあり、がん組織の摘出のために開腹しますと、腸組織が外気(空気)に触れることになります。腸は、一度空気に触れますと、腸の動きが鈍くなる特性があります。開腹によって、腸の運動が抑制されるということになります。特に、胃がんや大腸がんで、がん組織の摘出が行われますと、腸の動きが抑制されて、そのため手術後に便秘が生じます。

 がん治療では、抗がん剤の直接的作用による副作用としての便秘が生じますが、それ以外にも抗がん剤治療による便秘が間接的に生じます。抗がん剤の副作用で発生頻度の高いものに、吐き気や嘔吐があります。抗がん剤で吐き気や嘔吐が起こりますと、食欲不振となって食事の摂取量が低下します。それにより排便に必要な便の形成が不十分となって、便秘が引き起こされます。抗がん剤の副作用として生じる吐き気や嘔吐を抑えるために、たびたび制吐剤が処方されます。カイトリル、ゾフラン、セロトーン、ナゼアなどの5-HT3受容体拮抗制吐剤が用いられますが、これらの制吐剤の服用は、便秘を引き起こします。これは、制吐剤で腸の蠕動運動が抑制されるためです。

 がんの自覚症状で最も辛いのは痛みです。がん治療では、がんそのものをターゲットとする抗がん剤治療が行われますが、同時に、がんによる痛みに対する治療も行われます。がんによる痛みは、頭痛や生理痛とは異なり、通常の鎮痛剤では効きません。そこで、最も鎮痛効果の高いオピオイド系鎮痛剤(モルヒネなど)がしばしば用いられます。しかし、オピオイド系鎮痛剤には、痛みを抑える作用があるのと同時に、小腸の運動を抑制し、また腸から分泌される腸液を減らす作用があり、このため便秘が高頻度で生じます。硬い便となって、排便困難となります。

 抗がん剤治療においては、がんを告知された患者さんにとっては、非常に精神的ストレスがかかります。主治医から、抗がん剤治療の説明を受ける中で、抗がん剤の副作用についても必ず説明があります。気を強く持って、抗がん剤治療を受けることができるのであればよいのですが、例えば、脱毛という副作用1つとってみても、特に、女性にとっては精神的なストレスを感じてしまいます。このようながん治療に臨むに際して、精神的なストレスは、並大抵なものではございません。このような精神的ストレスは、腸管運動にも影響し便秘が生じます。ストレス性便秘といわれるものです。

 以上のように、がん治療あるいは抗がん剤治療では、さまざまな要因で便秘が生じます。そのため、通常の下剤では、便秘をコントロールすることができません。特に、抗がん剤治療による便秘で重要なことは、先ずは便秘を生じさせないこと、つまり便秘の予防対策が第一義的な対策となります。当然のことながら、抗がん剤治療で生じてしまった便秘の改善も必要となります。下剤は、便秘の予防にはなりえません。では、抗がん剤治療に伴う便秘の対策は、どのようにしたらよいのでしょうか。以下に、抗がん剤治療に伴う便秘の改善策を提示します。

 抗がん剤治療又はがん治療に伴う便秘対策

  抗がん剤治療又はがん治療に伴う便秘のコントロールは、腸閉塞を予防するためにも非常に重要となります。便秘のコントロールは、単に生じてしまった便秘の対策に注視するのではなく、その予防も合わせて注視する必要があります。便秘の治療と予防を兼ね備えた対策が求められます。下剤や便秘薬は、便秘の治療に有効ですが、便秘の予防には用いることができません。

 抗がん剤治療又はがん治療に伴う便秘の対策は、治療と予防を兼ね備えた2つの側面が必要となります。この双方に効果的に作用するのが、野菜や根菜類に含まれる天然成分のイヌリン水溶性食物繊維です。イヌリン水溶性食物繊維は、水によく溶ける水溶性の食物繊維で、大腸内に生息するビフィズス菌酪酸菌、乳酸菌などの善玉菌の特異的な栄養源となります。イヌリン水溶性食物繊維は、大腸内の善玉菌を増やす作用があり、食欲不振で食事の摂取量が低下した時でも、便の量が増え排便を促します。また、ビフィズス菌などの善玉菌は、硬くなった便を軟らかくする効果があり、これによっても便秘が改善されます。イヌリン水溶性食物繊維は、抗がん剤治療やがん治療に伴う便秘の予防と治療の2つの側面に対して、効果的に働く天然成分となります。下剤や便秘薬にはない予防と治療の2つの機能を併せ持つ天然成分であるといえるでしょう。イヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果が高い天然成分ですが、腸内環境の改善は、体内免疫力の向上にもつながり、がん治療の効果を高めます。

 とはいえ、野菜や根菜類に含まれるイヌリン水溶性食物繊維の含有量は非常に少ないという欠点があります。従って、イヌリン水溶性食物繊維が含まれる野菜類や根菜類を摂取しても、便秘や自己免疫力を高める効果は期待できません。しかし、今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維が、健康補助食品として市販されています。抗がん剤治療あるいはがん治療に伴う便秘の予防と治療に、このような健康補助食品を活用することも有用です。

 抗がん剤治療は、いわば副作用との戦いです。いかに、副作用を克服するかによって、抗がん剤治療の効果も変わります。抗がん剤治療による副作用は避けることができませんが、少しでも副作用を抑制することによって、抗がん治療の効果が上がります。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/

大人ニキビは便秘が原因

大人ニキビは、ニキビ薬では治りません。大人ニキビの原因は、思春期ニキビの原因とは異なります。大人ニキビの主な原因は、古い皮膚の角質層の蓄積とお肌の乾燥です。お肌の代謝が悪くなることで、角質層が毛穴を塞いでしまい、それによってアクネ菌が繁殖して大人ニキビが生じます。大人ニキビの原因は、お肌細胞の代謝に影響を及ぼすストレス、睡眠不足、女性ホルモンの乱れ、栄養バランスの乱れなどが指摘されていますが、女性の大人ニキビの最大の原因は、女性に多い便秘です。女性の大人ニキビの原因のほとんどが、便秘によるものです。便秘薬の適応症は、便秘そのもの以外に、「便秘に伴う肌荒れ・吹出物」も含みます。便秘薬は、大人ニキビを含む肌荒れに効くということになります。この便秘薬の適応症からも、大人ニキビと便秘とは密接に関連していることがわかります。大人ニキビの治療は、皮膚疾患として捉えるのではなく、腸内環境の状況による胃腸疾患として捉えることが重要です。便秘薬は、大人ニキビに対して有効ではなく、腸内環境を改善することのできるイヌリン水溶性食物繊維が大人ニキビの改善に有効です。ここでは、便秘が原因となる大人ニキビについてお話します。 

大人ニキビと思春期ニキビの違い

  ニキビには、大人ニキビと思春期ニキビとがあり、ニキビができる原因とニキビができる場所もそれぞれ異なります。

  大人ニキビは、思春期を過ぎて大人になってからできるニキビのことをいいます。大人ニキビができる原因は、人によってさまざまです。不規則な食生活、睡眠不足、飲酒、喫煙、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、化粧品やスキンケアで用いられる化学成分等、さまざまな要因で大人ニキビができると考えられています。その中で、大人ニキビができる原因として最も有力な説として考えられているのが、皮膚のターンオーバー(皮膚の新陳代謝サイクル)の乱れです。皮膚のターンオーバーとは、皮膚細胞の回転サイクルのことをいいます。人の皮膚の細胞は、約28日間の周期で新しい細胞と古い細胞が入れ替わります。このリズムが乱れますと、古くなった角質層が溜まってしまい、角質層全体が厚くなって毛穴が狭くなり詰まってしまいます。そのため、毛穴に生息していたアクネ菌(ニキビの原因菌)が角質層の中で繁殖し、ニキビができてしまうのです。このようにしてできたニキビを一般に大人ニキビといいます。

 他方、思春期ニキビとは、10代の思春期にできるニキビです。特に、中学生や高校生に思春期ニキビが多くみられます。このような成長期では、体をつくるために盛んに成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには、皮脂腺を刺激する作用もあり、これによって皮脂が過剰に分泌されます。皮脂の分泌量が増えますと、皮脂が毛穴に詰まりやすくなり、そのためニキビの原因となるアクネ菌が繁殖しやすくなるのです。20代前後になりますと、このホルモンバランスが整って、思春期ニキビはできなくなります。このように、大人ニキビと思春期ニキビは、そのできる原因とメカニズムが異なります。また、ニキビのできる体の部位についても、大人ニキビと思春期ニキビとで異なります。大人ニキビは、顎、フェイスライン、首筋にかけてできます。他方、思春期ニキビは、皮脂の分泌が盛んな額、鼻、頬にできやすいです。大人ニキビと思春期ニキビは、そのできる場所も異なります。

 一般に、大人ニキビの対策としては、生活習慣全般の見直し、ストレスのない規則正しい生活、健康な食生活が重要となります。大人ニキビでは、角質層の中でアクネ菌が繁殖しますので、洗顔等の対策はあまり効果が上がりません。他方、思春期ニキビの対策では、皮脂分泌に対する対策が重要となり、洗顔等が有力な対策となります。

大人ニキビと便秘

  大人ニキビで悩んでいる女性もきっと多いことでしょう。ニキビ薬を塗っても、なかなかニキビが治らない女性も多いです。女性の大人ニキビの最大の原因は便秘です。便秘は女性に多いのですが、便秘が続きますと、お肌にもさまざまな形でその影響が現れます。大人ニキビのある女性の多くは、同時に、便秘でもあります。大人ニキビは、代表的な便秘症状の1つとなるのです。ニキビ以外にも、便秘は、肌のくすみ、肌荒れ、吹出物などの原因となります。

 便秘では、大腸内に便が長時間にわたり留まっているために、本来なら排泄されるべき老廃物や毒素(アンモニア,硫化化合物、インドール化合物等)が蓄積されている状態となっています。大腸の働きの1つに水分吸収がありますが、便秘で便が大腸内に長時間留まりますと、過剰な水分吸収が生じて便が硬くなり、腸内環境が悪化します。また、便秘になりますと、自律神経の乱れや全身の血流の悪化が生じます。さらに、大腸内で生成した毒素が体内に吸収され、イライラ感、食欲不振、疲労感、肩こり、冷え症、頭痛、吐き気などの諸症状が現れます。大人ニキビを含むお肌のトラブルは、便秘による血流の悪化(血行不全)と大腸で生成する毒素によるものです。血流が悪化して毒素が集積されますと、皮膚の細胞の新陳代謝が抑制されてしまい、古い角質層が蓄積されてしまいます。そのため、便秘は、大人ニキビの原因となるのです。また、便秘を原因とする大人ニキビは、ニキビ薬ではなかなか治りません。大人ニキビでは、厚い角質層の下でアクネ菌が繁殖しますが、厚い角質層がニキビ薬の有効成分の浸透を阻害するために、ニキビ薬の効果が現れないのです。なお、便秘で生じる毒素についてですが、これは主に食べた食事に含まれる未消化蛋白質大腸菌などの悪玉菌によって分解代謝される過程で生じる化学成分で、尿毒素としても知られている成分です。現在までのところ、約300種以上の毒素成分が同定されています。

大人ニキビの治し方・便秘薬は有効か?

  大人ニキビの治療は、医学的には皮膚科領域ではなく内科領域、とりわけ胃腸科領域が対象となります。ニキビは皮膚にできるので、病院に行くのならば皮膚科だと思われている方も多いと思われますが、大人ニキビの医療機関における治療は、皮膚科よりも内科が適している特徴があります。他方、思春期ニキビの治療の場合には、内科よりも皮膚科が適しているのです。大人ニキビの治療で重要なことは、便秘を解消し、なおかつ、腸内環境を整えることが最善の治療となります。ここで大切なことは、単に便秘の解消だけでは不十分であり、同時にビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌等の善玉菌に富んだ大腸内の腸内環境の改善が、大人ニキビの治療に必要不可欠となることです。

 便秘の解消には、しばしば刺激性下剤である便秘薬が用いられます。ここで、代表的な便秘薬の「効能・効果」についてみてみましょう。効能・効果とは、その医薬品が効果を有する病気の種類(病名)やその症状を示したものであり、厚生労働省の審査によって認められたものです。タケダ漢方便秘薬の効能・効果は、「便秘、便秘に伴う腹部膨満感・ふきでもの(にきび)・腸内異常発酵・痔・頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・食欲不振(食欲減退)などの症状の緩和」とされています。コーラックなどの他の便秘薬についても、同様の効能・効果が示されています。これらの便秘薬の効能・効果からもわかりますように、便秘薬は、「ふきでもの(ニキビ)」に効くということが明らかとなっています。つまり、「ニキビ」は便秘の症状であるという位置づけであることが、医学・薬学的に公知となっているのです。これは、「便秘が治ればニキビもまた治る」という意味なのです。

 しかし、このような便秘薬は、はたして大人ニキビの治療に最適な治療法であるといえるのでしょうか。第一に、大人ニキビは再発を繰り返します。ニキビが治っても、ニキビがまたできることが多いです。他方、刺激性下剤である便秘薬は、それを繰り返し用いますと、次第に効果が減弱することが知られています。よって、繰り返す大人ニキビに、その都度、便秘薬を用いますと、次第に便秘改善の効果がみられなくなり、その結果、大人ニキビに対する効果も消失することになるのです。第二に、酸化マグネシウムを含む便秘薬には、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌などの善玉菌が多く生息する腸内環境を実現する効果はございません。後で述べるように、大人ニキビの治療には、皮膚細胞の新陳代謝(ターンオーバー)が必要不可欠となるのですが、便秘薬にはそのような効果はないのです。以上から、大人ニキビの治療に、便秘薬の使用は不十分であるといえます。特に、大人ニキビを再発し、繰り返す人にとっては、他の治療法についても考える必要があります。

 大人ニキビの治し方・便秘の解消と腸内環境の改善

  大人ニキビの根本治療は、皮膚疾患としてのニキビではなく、体内・腸内環境の改善としての治療となります。

 赤ちゃんの皮膚から高齢者の皮膚まで、皮膚(角質層)の入れ替わりである新陳代謝に関与しているのが、ビオチンとよばれるビタミンです。ビオチンは、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種であり、ビタミンB7又はビタミンHともよばれています。ビオチンは、皮膚細胞の代謝回転を促進させる生理活性物質として働き、皮膚の維持に重要な役割を果たしています。大人ニキビ、肌荒れ、湿疹、吹出物、加齢に伴う皮膚の老化、しわ、皮膚のたるみ等、ビオチンは皮膚組織の維持・管理に必要不可欠な成分であるといえます。老化現象として、最初に現れるのが皮膚の老化現象(しわ、しみ等)ですが、これは、ビオチンが欠乏することによって生じることが明らかとなってきました。ビオチンは、大人ニキビなどの肌荒れの原因のみならず、加齢による皮膚の老化にも重要な働きがあることが知られるようになってきました。

 では、ビオチンは、どのようにして体内に存在し、全身、特に皮膚組織に分布するのでしょうか。ビオチンは、通常、私たちが食べる食物の中にはほとんど含まれていません。ただし、卵黄と大豆には、ビオチン成分を含みますが、蛋白と強固に結合しているために、消化管から吸収されることなく、ほぼその全量が糞便中に排泄されてしまいます。また、ビオチンは、体内の組織では生成されないことも明らかとなっています。とはいえ、私たちの体の中には、ビオチンが確かに存在していることが医学的に証明されています。では、この矛盾についてですが、実は、ビオチンというビタミンは、大腸内に生息するビフィズス菌などの善玉菌が、副代謝産物として産生し、それが大腸から吸収されて全身に分布しているのです。つまり、皮膚の新陳代謝に欠かせないビオチンは、大腸内の腸内細菌(善玉菌)でつくられているということになります。

 便秘は、善玉菌が少ない腸内環境で生じます。ビフィズス菌などの善玉菌が少ない便秘の状態では、当然のことながら、ビオチンの産生量が低下することになります。その結果、皮膚細胞の新陳代謝が遅延し、皮膚の角質層が溜まることになります。大人ニキビの原因が、皮膚角質層の肥厚ですが、その原因の根源は、ビオチンの欠乏、すなわち、ビフィズス菌などの善玉菌が少ない腸内環境の悪化であるといえます。大人ニキビは、一見しますと、皮膚の病気であるとみえるのですが、その原因は、皮膚ではなく、大腸の腸内環境がその原因の根源であるということになります。便秘で大人ニキビなどの肌荒れが生じるのは、便秘で大腸内の善玉菌が減少し、そのため皮膚細胞の新陳代謝促進成分であるビオチンの産生が低下することによるものと考えられます。

 大人ニキビの治し方のポイントは、便秘の解消と腸内環境の改善の2つにあります。この2つの点を同時に解決する必要があります。便秘薬は、便秘の解消に有効ですが、腸内環境を改善させる効果はございませんので、大人ニキビ対策としては不十分であるといえます。便秘の解消と同時に腸内環境を改善させる方策としては、水溶性食物繊維であるイヌリン水溶性食物繊維がとても効果的です。イヌリン水溶性食物繊維は、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養源となって、善玉菌のみを特異的に増やし、その結果、腸内環境が改善されます。これをイヌリン水溶性食物繊維によるプレバイオティック効果といいます。イヌリン水溶性食物繊維の効果は、オリゴ糖とは異なり、大腸菌などの悪玉菌は増やさないので、理想的な腸内環境改善作用であるといえます。オリゴ糖は、善玉菌を増やす作用がありますが、同時に、大腸菌などの悪玉菌も増やす作用もあり、そのため腸内環境を改善させる効果はほとんどないといわれています。イヌリン水溶性食物繊維によって大腸内のビフィズス菌などの善玉菌が増えますと、その菌の作用によって、硬くなった便が軟らかくなり、便秘が解消されて、自然な排便状態となります。さらに、イヌリン水溶性食物繊維で大腸内のビフィズス菌などの善玉菌が増えることにより、皮膚細胞の新陳代謝に関与するビオチンの産生が高まり、大人ニキビの治療的な改善効果が期待できるのです。今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン水溶性食物繊維が健康補助食品として市販されています。大人ニキビの原因となる便秘の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。

 大人ニキビは、単に皮膚疾患として捉えるのではなく、大腸内の腸内環境を原因とした皮膚疾患として捉えるべきでしょう。このような考え方は、大人ニキビの治療法のあり方として、とても重要となります。プレバイオティック効果に優れたイヌリン水溶性食物繊維は、大人ニキビの対策にとても有用な食品成分となります。大人ニキビは、再発を繰り返しますので、長期に用いることができる対策が、大人ニキビの治療に必要不可欠であるといえます。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/

パーキンソン病に伴う便秘

 パーキンソン病は、欧米では古くから知られていた病気で、近年、高齢化に伴って日本においても患者数の増加が顕著な神経変性疾患の1つです。パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで発症頻度の高い脳神経系疾患です。パーキンソン病は、脳の中の神経に異常が起こることにより発病し、さまざまな症状を呈します。特に、発症頻度が高い症状として便秘があります。パーキンソン病患者さんの約90%に便秘がみられています。パーキンソン病の便秘は、その病気による自律神経障害が原因となって現れます。パーキンソン病では、腸管の運動を促進する自律神経系が障害を受けているために、腸管運動が抑制されてしまい、その結果、便秘が生じます。また、パーキンソン病の治療には、L-ドーパや抗コリン剤などの治療薬が用いられますが、これらの薬物治療によっても副作用としての便秘が生じます。このように、パーキンソン病に伴う便秘は、原疾患とそれに対する薬物治療の双方が原因となります。パーキンソン病は、難病指定されている病気ですが、パーキンソン病で生じる便秘はとても深刻なものであり、原疾患の治療と合わせて、その対策も重要となります。パーキンソン病の便秘対策に、刺激性下剤である便秘薬及び酸化マグネシウムの使用は有効ではないとされています。パーキンソン病は長期にわたる病気ですので、長期にわたり使用することのできる便秘対策が求められます。また、パーキンソン病の便秘に特徴的なのは、硬い便となってしまい、その結果、排便困難となり便秘が生じることです。従って、長期に使用可能であり、かつ硬くなった便を軟らかくすることができる便秘対策が求められます。最近の研究によれば、その両者に有効なのは、天然素材であるイヌリン水溶性食物繊維であるとの報告がみられます。ここでは、パーキンソン病に伴う便秘についてお話します。

パーキンソン病とは

  ヒトの脳は、大脳、小脳、脳幹の3つに分類されます。そのうち、パーキンソン病は、脳幹に分類される中脳の中の「黒質」とよばれる部分と、大脳の「大脳基底核」とよばれるところにある「線条体」という部分に、異常が生じて発症することが明らかとなっています。脳組織は、神経細胞という細胞が集団で結合した組織体です。脳は、脳神経細胞で構成される臓器です。各脳神経細胞は、独立した細胞なのですが、その細胞と細胞との間では、さまざまな外的あるいは内的情報に対して、協調的に連動し一種の情報伝達を行っています。これにより、体全体の生命体としての維持を保ち、生命を持続させる働きを担うことになります。各神経細胞の間のコミュニケーションは、ドパミンセロトニンアセチルコリンといった化学成分によって行われています。これらの化学成分によって、個々独立した各神経細胞に連携性や連帯性が生じ、脳という1つの臓器が形成されることになります。上記の神経細胞のコミュニケーションにおける化学的媒体は神経伝達物質とよばれます。

 パーキンソン病では、黒質部位に異常が生じ、その脳部位の正常な神経細胞が減少します。そのため、黒質部位の神経細胞で生成される神経伝達物質であるドパミンの産生量が低下し、黒質から線条体に向かう神経情報伝達が遮断されることになります。これにより、さまざまなパーキンソン病特有の症状が現れます。脳の黒質で生成するドパミンの量が、正常の人の20%以下まで低下しますと、パーキンソン病の症状が現れます。

パーキンソン病の疫学

  パーキンソン病は、平成27年1月の時点で、厚生労働省において難病に指定された病気です。本邦における有病率は、人口10万人あたり100~150人と推定されています。日本では、約10~15万人のパーキンソン病患者さんがいることとなります。パーキンソン病の発症年齢は、50~65歳に多くみられますが、高齢になるほど発病率が増加する傾向があります。

 パーキンソン病の中には、40歳以下で発症することがあり、稀に10代でも発症することが知られています。これら若くして発症したパーキンソン病を、若年性パーキンソン病といいます。若年性パーキンソン病の患者さんには、血縁者の人にもパーキンソン病を発症している場合が多いために、若年性パーキンソン病は家族性パーキンソン病ともよばれます。家族性パーキンソン病は、遺伝的素因で発症すると考えられています。 

パーキンソン病の症状

  パーキンソン病の症状はさまざまですが、大きく2つに区分されます。1つは、運動障害性症状であり、他の1つは、非運動性障害です。運動障害性の症状としては、手足が振るえる(静止時振戦、しんせん)、動作・動きが遅くなる(無動)、筋肉がこわばって硬くなる(筋固縮)、体のバランスが悪くなる(姿勢反射障害、転びやすくなる)、といった症状がみられます。静止時振戦、無動、筋固縮、姿勢反射障害の4つの症状は、パーキンソン病の発症初期からみられる特徴的な運動性症状となります。この運動性症状により、顔の表情の乏しさ(喜怒哀楽の表情がない)、小声(大きな声での表現がない)、小書字(紙に文字を書くと小さな文字で書く)、屈曲姿勢(前かがみの姿勢で、胸を張って立つことができない)、小股・突進歩行(歩く時の歩幅が狭く、ちょこちょこと歩く)、といった症状が現れ、身近な人にもその症状を認識することができます。運動性症状のうち、無動があり、なおかつ静止時振戦か筋固縮がある場合に、パーキンソン病が疑われることとなります。

 パーキンソン病の非運動性症状には、自律神経症状、認知障害、嗅覚障害、睡眠障害、精神症状、疲労や疼痛、体重減少などがあります。自律神経症状には、便秘、頻尿、起立性低血圧(立ちくらみ)、食事性低血圧(食後のめまいや失神)、発汗、むくみ、冷え性、性機能障害などがあります。認知障害には、遂行機能障害(いくつかの手順を踏む行動が計画できなくなる)や物忘れがひどいなどの認知症症状などがあります。嗅覚障害ではにおいを感じなくなります。睡眠障害では、眠ることができない不眠や日中の眠気が顕著となります。精神症状には、うつ、不安、アパシー(身の回りのことへの関心がうすれてしまったり、顔を洗う、着替える、といったことをする気力がなくなる状態をいいます)、幻覚、錯覚、妄想などがあります。また、疲れやすい、肩や腰の痛み、手足の筋肉痛、しびれ、体重減少が生じることがあります。これらの非運動性症状のうち、もっとも多くみられる症状は、便秘及び頻尿をはじめとした自律神経症状です。特に、便秘はパーキンソン病の90%にみられる発症頻度の高い症状です。自律神経は、排便機能として重要な腸管運動をコントロールしていますが、パーキンソン病の発病により、その自律神経の機能が乱れてしまい、便秘が生じます。パーキンソン病で便秘が多くみられる理由の1つは、このようなパーキンソン病原疾患の特質によるものです。

 家族性のパーキンソン病である若年性パーキンソン病では、高齢者で発症するパーキンソン病とは異なる特徴があります。1つは、病勢の進行がとてもゆっくりしています。2つ目は、パーキンソン病治療薬の効果が長時間持続します。3つ目は、表情が乏しく、動作がゆっくりとした寡動が主な症状であり、手足の振るえである振戦の症状が少ないです。4つ目は、前のめりのまま歩き、歩くスピードの調整ができずに突進してしまう姿勢反射障害の症状はあっても軽度であり、転ぶことは少ないです。

パーキンソン病の治療法

  パーキンソン病の治療法には、薬物治療、外科治療及び理学療法リハビリテーション)の3つの種類がありますが、治療の中心は薬物治療となります。薬物治療によって、パーキンソン病の諸症状を抑えることができます。薬物治療の基本となる薬剤は、L-ドパ(レボドバ)とよばれる薬剤とドパミンアゴニストに属する薬剤です。いずれも内服薬です。パーキンソン病では、脳内のドパミンという神経伝達物質が欠乏しています。そこで、薬物治療では、不足しているドパミンを補給することを治療の目的としています。L-ドパ製剤(ドパゾール、ドパストン)は、服用後、脳内でドパミンに変化し、内因性ドパミンと全く同じ働きを行います。ドパミンアゴニストは、化学構造上、ドパミンそのものとは異なりますが、神経細胞に対して、ドパミンと同じ働きがあります。アマンタジン(シンメトレル)、タリペキソール(ドミン)、プラミペキソール(ピーシフロール、ミラペックス)、ロピニロール(レキップ)、ロチゴチン(ニュープロパッチ)、アポモルヒネ(アポカイン)、カベルゴリン(カバサール)、ペルコリド(ペルマックス)、プロモクリプチン(パーロデル)などの薬剤があります。

パーキンソン病に伴う便秘・臨床的問題点

  L-ドパやドパミンアゴニストは、パーキンソン病の諸症状を改善させますので、パーキンソン病の治療において必要不可欠な薬剤といえます。しかし、これらの薬剤には、腸管運動を抑制する作用もあり、これにより重度の便秘が副作用として生じます。パーキンソン病では、原疾患を起因とした自律神経障害による便秘と薬物治療による副作用としての便秘が生じることになります。このように、パーキンソン病では、病気と治療の2つの側面で便秘が生じることとなります。しかも、このようなパーキンソン病の便秘においては、通常の便秘薬による下剤での治療では十分ではなく、難治性の便秘となり、それにより腸閉塞(イレウス)の状態になる危険性があります。このような状態が続きますと、栄養状態が悪化し、体重も急激に減少します。パーキンソン病で便秘になりますと、L-ドパなどの治療において、薬物の腸管からの吸収が遅延し、パーキンソン病の薬物治療にも影響することが報告されています。パーキンソン病は、長期にわたる病気です。便秘による栄養障害と便秘による薬物治療に対する影響が、パーキンソン病の治療上の大きな問題となっています。

パーキンソン病の便秘対策

  パーキンソン病の便秘治療に、通常の刺激性下剤である便秘薬は有効ではございません。パーキンソン病は、長期にわたる病気ですので、便秘が生じたその都度、刺激性下剤である便秘薬を用いますと、その反復使用によって、便秘薬の効力が失われることとなります。そうなりますと、もはや、刺激性下剤の便秘薬で便秘を改善することができなくなってしまいます。従って、パーキンソン病の便秘治療に、このような便秘薬の使用は最適ではないといえます。

 酸化マグネシウムは、非刺激性の便秘薬で、便の量を増やすことによって排便を促します。パーキンソン病による便秘は、腸管運動の抑制によって引き起こされます。従って、酸化マグネシウムの服用で便の量が増えたとしても、その便を肛門の方へ押しやる力が弱くなっている状況においては便秘改善効果は期待できません。むしろ、排泄されない便が大腸内に貯留してしまう危険性があります。また、酸化マグネシウムの服用で高マグネシウム血症が発症し、死亡したケースが厚生労働省から報告されています。パーキンソン病のように長期にわたる病気では、酸化マグネシウムの便秘対策としての使用は適していないといえます。なぜならば、酸化マグネシウムの長期使用は、高マグネシウム血症の発症リスクが高まるためです。

 このように、長期にわたる便秘に対する対策として、刺激性下剤である便秘薬や非刺激性便秘薬である酸化マグネシウムによる治療は最適ではないといえます。長期に使用しても、便秘改善効果が減弱せず、また安全性の高い便秘対策が、パーキンソン病の便秘治療に求められます。

 近年、便秘薬では効果が期待できない慢性便秘の改善に、イヌリン食物繊維という水溶性食物繊維が注目されています。イヌリン水溶性食物繊維は、ゴボウ、玉ねぎ、アスパラ、ニンニクなどの根菜類や野菜類に含まれる天然成分です。便秘に対するイヌリン水溶性食物繊維の効果は非常に高いです。刺激性下剤である便秘薬とは異なり、腹痛を伴うことなく「自然な排便」として便秘が解消されるところにその特徴があります。イヌリン水溶性食物繊維は、大腸内に生息するビフィズス菌酪酸菌、乳酸菌などの善玉菌の特異的な栄養素となり、それら善玉菌を増やす効果に優れた食品成分です。オリゴ糖とは異なり、大腸菌などの悪玉菌の栄養源にはならないので、速やかに腸内環境は改善されます。腸内の善玉菌が増えますと、パーキンソン病でみられるような硬い便は軟らかくなり、自然な排便が促進されます。イヌリン水溶性食物繊維は、急性便秘及び慢性便秘のいずれに対しても効果的です。パーキンソン病の慢性便秘にも有効であるとの報告もみられます。このようにイヌリン水溶性食物繊維は、便秘にとても有用な天然成分であるのですが、根菜類や野菜類に含まれる含有量が非常に少ないという欠点があります。しかし、今ではスティムフローラのように、極めて高純度(99%以上)なイヌリン水溶性食物繊維が、健康補助食品として市販されています。パーキンソン病の便秘対策として、このような天然成分を利用することも、とても有用な対策となります。

 パーキンソン病は、ゆっくりと進展する病気です。長い病期となりますが、病気とうまく付き合っていくことが大切です。現代において、パーキンソン病の諸症状は、薬物治療で抑えることができます。また、パーキンソン病とその治療で生じる便秘も、天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維を用いれば、自然な排便となって、生活の質を向上させることができます。遺伝的素因で発症する若年性パーキンソン病にも有用です。パーキンソン病は難病であるといわれていますが、薬物療法と的確な便秘対策を積極的に取り入れることにより、健康な人と同じ生活を送ることができます。

f:id:Marisho:20190523122552j:plain

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、病気で食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、無水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

http://www.stimflora.jp/